アンコールッ! アンコールッ!
手拍子と共に、スタンディングオベーションでライブ会場を埋め尽くすオーディエンスたちは、アンコールを要求しております。
地鳴りのごとく反響しておりますわ。
わたくし、今日は、とあるライブハウスに来ておりますの。
もちろんわたくしも頭上で、両手を艶やかにクラップ!
会場内はもう興奮の坩堝、でございます。
千五百人収容できますライブハウスですが、どうみても三千人を遥かに超していそう。
押し合いへし合いは、いたしかたございません。
目の前で観られるだけでも、良しとせねば。
ライブハウスに入れなかったファンたちが、五千人ほど外に溢れているそうなのです。
当たり前ですわね。
通常はこの程度の会場ではなく、武道館やドームでライブをする大物アーティストですもの。
わたくしが伝手により、このプラチナチケットを入手できた時には、それはそれは鼻血が吹き上がるほど興奮いたしました。
会場内を見渡せば、いまだ鼻にティッシュをつめたおかたが、大勢いらっしゃいます。もう興奮を超越しております。ビョーキ?
本日のセットリストは、ネットのファンサイトで喧々諤々と騒がれておりましたわ。セットリストとはライブの演目ですの。
当然セトリは超極秘あつかい。
ですから開演直後にSEが始まると、「ウォー!」とも「キャー!」ともとれる悲鳴が一斉に上がりました。
もちろん、わたくしめも、少し可愛く「キャーッ♡」などと小声で叫びましたのよ。
SEと申しますのは「Sound Efect」の略語で、簡単に言ってしまえばライブ入場曲とでもお考えくださいまし。
会場が暗転いたしましてSEが流れ出した瞬間に、会場内は高揚感に包まれます。
ライブで一番最初のハイライトでもございます。この瞬間、たまりませんわぁ。
そして、オープニングよ!
誰しもが度肝を抜かれました。
だって、「二銭銅貨」よ!
あの二度と聴かれないと噂された、幻の「二銭銅貨」をオープニングにチョイスされるなんて。
続いて「赤い部屋」、「黒手組」、「人でなしの恋」ときまして、トリはもちろん、「孤島の鬼」でしたわ。
圧巻……
わたくしは、現実と虚無の間で揺らめいておりました。
はっ? それは音楽ライブか、とお聴きですの?
いやですわ、おからかいになっては。
江戸川乱歩を暗唱させたら、日本いえ世界でも追随を許さない、あのおかたの “語り部ライブ” ですわよ。
ご納得されましたかしら。うふふ。
先だっても東京ドームをかわきりに、全国五大ドームツアーを行って。チケットは瞬殺のソールドアウト。
ただ、たまにこうして地方でシークレット・ライブをおやりになるの。
キャーッ!
アンコールの雨嵐が吹き荒れる中、スポットライトを浴びながら
舞台にお出になられましたわ!
怒涛のような声援、わたくしだって負けるもんですか!
声援に負けず劣らず、あのおかたは首にツアー・グッズのタオルを巻いて、しわぶきをひとつ。
すぐにアンコールが始まりました。
「見渡す限り白雲一とひらもない一面の青空。見渡す限り、白波一つくだけず、――」
アンコールはお決まりの「大暗室」!
もうファンの心を、しっかりと捉えていらっしゃいますのね。さすがはその道二十五年のプロです。
わたくしも、CDは擦り切れるくらい聴いております。でも、やっぱりライブが一番ですわね。
ライブ終了後、わたくしは興奮冷めやらぬ面持ちで、カクヨムさまをチェック。
あらっ、まだライブの余韻が……拙作「猟奇なドール」にレビューが!
夕日 ゆうやさま、
ご無沙汰お許しくださいませ。
ご多忙の中、ありがとうございます!
つばめちゃんは素敵ですけど、ちょっぴり妬いてしまいますわ、ゆうやさまのお口からあからさまに仰られますと……
でも、嬉しい♡
万能薬でしたら、とても良いおクスリがございますの。
よろしければ、いつでもご用立ていたしますわ。
こちらこそ、心より御礼申し上げます♡
あらっ、ゆうやさまがお★をくださったのに、増えていない……
なぜ?
こ、これが巷でもちきりの、「カクヨム界のバミューダ・トライアングル」なのね!
お★さまが突如行方不明になり、その後誰も消息を知ることのない、あの超常現象……
それでも、つばきはくじけません。
だって、こんなお話でもお目通しくださるかたが、いらっしゃいますもの。
お読みくだすった皆さま、本当にありがとうございます♡