わたくし、心霊マイスターでございますゆえ、こんなご相談なんかもされたりしますの。
『僕はいつものように、終電が到着するより前に吹きさらしのプラットホームのベンチに腰を下ろす。
線路を挟んで反対側のホームにも誰もいない。改札口はホームから階段で上がった二階にある。
ホームの屋根越しに夜空が見えた。
ふと階段に視線を感じ、何気なく顔を向けた。すると、階段中央にいつの間にか人が立っていたのだ。長い髪で、顔が隠れている。女性である。
黒い上着に黒いロングスカートだ。
わたしは顔を正面に向けた。
最終電車はまだ来ない。
横に違和感を覚え、目線だけ動かすと、先ほど階段にいた女性がいつの間にか僕の座るベンチの片隅に座っているではないか。足音もなく、まるで宙を舞ってきたかのように。
女性は反対側のホームを向いているし、長い髪が邪魔で様子がわからない。
僕は何気ないふりをして、ジッと座っているしかなかった。
スルスルと布の擦れる音がした。
女性はベンチの上を滑るように、僕のすぐ横まで移動してきたのだ。
女性は正面を向いていた顔をゆっくりと僕に向ける。
青白い肌に、細い両目が瞬きもせず僕を見た。
刃物で裂いたような薄い唇が、ぱっくりと開き、年齢不詳のややしわがれた声で僕に言った。
「さあ、こっちへおいで。コワいのかい?
でもね、あなたはここにいてはならないのさ。
あなたが本来いるべき場所へ、連れて行ってあげよう。
わたしにはな、あなたが視えるのさ。
このホームにいても誰も救ってはくれない。
永遠にここにいるつもりなのかい。
わたしが成仏させてあげるからね。霊媒師のわたしが」
僕はそれで、ようやく地縛を解かれ冥界へ行けることになった。』
そうなのです。霊媒師の女性から、成仏させるための呪法を相談されておりましたの、うふふ。
深夜ではありますが、アイスティを傾けまして、カクヨムさまをチェックです。
えっ?
まさか拙作「明日に奏でる草笛の音」にレビューとお★さまが!
里宇都 志緒さま、この度は誠にありがとうございます!
いつになく(失礼いたしました)真面目なレビューを頂戴できますなんて、嬉しい♡
わたくしの紡ぐお話で感動されるなんて、いやですわあ。
わたくしは、キワモノ語り部でございますゆえ、照れてしまいますの。
本当にありがとうございます♡