中学二年の私はお馬鹿なお子様でした。
忘れもしない、中二のバレンタインデー。
私と友人のN君とM君は、女子からチョコをもらうことなく放課後を迎え、いつものようにつるんで帰宅していました。
そんな中、M君は前方に見えるコンビニを指して言いました。
「これから『勇者決定戦』やろうぜ」
何言ってんだコイツ? と私たちは眉をひそめつつ、一応M君の説明を聞きました。
前方のコンビニはたいてい女性店員がレジにいるのですが、その人のレジでチョコを買うというルールでした。
つまり、「うわ……この中学生、女子からもらえなかったからって自分でチョコ買ってるし」という女性店員さんの蔑んだ視線(※被害妄想です)に耐えられるかどうかで勇者度が決まるということらしい。
何言ってんだコイツ? と再び眉をひそめる私たちでしたが、クラスのイケメンが山ほどチョコをもらっているところを目にしていたせいか、ヤケっぱちになって決定戦に参加することになりました。
ジャンケンの結果、N君、私、M君の順に突撃することになりました。
トップのN君は繊細な性格で気が小さいので、あまりチョコ菓子然としていない『き〇この山』を買って出てきました。
二番手の私はそのコンビニでいつもブ〇ックサ〇ダーを買っているので、店員さんも気にせず会計してくれるだろうとそれを選びました。
「お前らザコすぎだろ……」
私たちの買い物を見たM君はそう言って笑い飛ばし、意気揚々と店に入っていきました。
それから数分後、M君は満足げに店を出てきました。
そんな彼が手にしていたのはなんと、『バレンタインデーの特設コーナーに置かれている、綺麗にラッピングされたチョコレート』だったのです。
私とN君は目を真ん丸にして驚きました。
まさか、男子である彼がバレンタインデー用のチョコ(ちょっと割高)を、しかも女性店員さんに会計してもらうとは。さぞかし憐みの目(※くどいようですが被害妄想です)で見られたに違いないと、M君が心配になるほどでした。
そんなM君に、私は『漢』を見ました。
あなたにとって一番の『勇者』は? と聞かれれば、
「それはまぎれもなく、ヤツさ」
とM君の名を挙げるでしょう。彼こそ真に『勇気ある者』です。
女性から冷たく蔑んだ目で見られると快感なんだと語るM君ほど、勇者にふさわしい者はいないと私は思いました。
そうして私とN君が勇者をたたえていると、クラスの女子が通りかかりました。
M君が自分でバレンタイン用のチョコを買ったらしいことを見て取ったのか、彼女はM君に心底呆れ果てたように、
「そうまでしてチョコが欲しいの? バッカじゃない」
と言い放ち、続いてカバンからチョコを取り出して、
「これでも食ってろ」
なんて顔を真っ赤にしながらM君に渡し、走って去っていきました。
唐突な展開にその背をぽかんと見ていたM君。
そのとき、急にN君が声をあげました。
「何やってんだ、早く追いかけろよ!」
「お、おう……」
M君はとまどいながら、彼女を追いかけていきました。
勇者はもう一人、ここにいたのです。
友情より彼女を取れと友人の背を押したN君は、M君とはまた違った勇者に見えました。
M君を見送り、しばらくしてN君は言いました。
「きの〇の山、食う?」
私は答えます。
「すまん。俺、たけ〇こ派なんだ……」
……私は馬鹿なお子様でした。
派閥など気にせず、素直にき〇この山を分けてもらっていたら、今でもN君と友人でいられたかもしれないのに。
バレンタインデーが来ると思い出す、中学二年の苦い出来事です。
(※この文章は一部脚色してあります)
・ ・ ・
というわけで、バレンタインデーなので短編を一つ投下しようと思ったのですが、思ったより上手くまとまらなくて、今日中に公開できるかどうかが微妙になってしまいました。
間に合ったら褒めてあげてください。
間に合わなかったら笑ってあげてください。
頑張ります。