ちょっと早いですが、5月に読んだ本です。
・『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー
・『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈
・『ミシン』嶽本野ばら
・『針と糸』小川糸
・『きみはだれかのどうでもいい人』伊藤朱里
・『あなたは、誰かの大切な人』原田マハ
・『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒
・『街とその不確かな壁』村上春樹
・『ここはすべての夜明けまえ』間宮改衣
・『レーエンデ国物語』多崎礼
・『パタゴニア』ブルース・チャトウィン
重めの本がちょっとあったので、
冊数はそんなにいかないかなと思ってたけど……
まあまあ読んでますね。
カラマーゾフに関しては、私がなにかを書くまでもないでしょう。
新潮文庫で読んだので、今度は光文社の古典新訳を読もうかなと思います。
まあ三、四回くらい読んでも読み過ぎにはならない。
ミシンははじめて読んだ嶽本野ばら作品だったのですが、
面白かった。というか、なるほどこういう書き方もあるんだな、と思いました。
『きみはだれかのどうでもいい人』と『あなたは、誰かの大切な人』は、
この二つが並んでいるのが面白くて、思わず二冊とも読んでしまった。
原田マハはまあ面白いだろうなと思っていたので、まあ、うん、という感じです。
伊藤朱里の『きみはだれかのどうでもいい人』は、
『おいしいごはんが食べられますように』とかに通じるところがある気がしました。
どうにもままならない他者。煩わしい人間関係。摩擦。その本質。
どうやっても理解し難い、し得ない、他人の考えや、自分の内的かつメタ的な思考。
そうしたもののすべてがぐにゃんぐにゃんに絡み合っている感じ。とても良かったです。(っていうか人間関係描くのまじで上手い……
ラブカも面白かった。シンプルに小説というものの魅力が感じられた。
『街とその不確かな壁』は……うーん、難しいです。
村上春樹をあまり読んだことないからだろうか、とか思ったのですが、
家の本棚を見てみたら、なんだかんだで5、6作品くらいはあるんですよね。謎。そんなに読んでたのか。
『街とその不確かな壁』で村上春樹が書こうとしているものは、
多分、私が書こうとしている(書きたい)なにかと部分的に重なっています。
ただ、この作品がそれを表現できているのかは不明です。
なんとなく、村上春樹だからこれが許されるのだろうなという気がしました。
そこそこ長いし単調なので、読むには気力が必要ですが、気が向いたらまた読もっかな……(絶対読まないやつ
『パタゴニア』は図書館で借りて読んだのですが、
あらためて買おうと思いました。
とにかく面白い。
なにが面白いのかまるでわからないのに、なんだか面白い。
正直、読んでいても何の話が書かれていたのかも忘れてしまうのに、
なんだかずぶずぶと浸っていく感じがします。
これが5月のベストかな……。(あるいはカラマーゾフ
なんというか、私は虚実の境界が曖昧なのが好きなのかもしれません。
『パタゴニア』にはどことなくマジックリアリズム的な雰囲気があるんですよね。
時間軸が複数あったり、入り組んでいたり、場所が飛び飛びになったり、連続性が失われていたり……。
そもそも私たちは循環的、あるいは直線的な時間軸に沿って生きているつもりになっていますが、
そんなことはなく、唐突に過去に飛ばされたり、
あるいは未来を垣間見たり、
あるいは時間が止まったような感覚を味わったりと、
しっちゃかめっちゃかにこの世界に撹乱されまくっているわけです。
でも、その経験をそのまま混乱として文章にしても作品にはとうていならないわけでして……。
悩ましいです。
5月も大満足な読書体験でした。
カラマーゾフはずっと読まなければなと思っていた作品で、
ようやく読んだという感じです。
過去の名作と呼ばれるものは例外なく素晴らしいです。
もしその面白さや素晴らしさが理解できないのなら、
作品よりも、まず、自らを疑った方が良いと思っています。
そして、面白くなかったのなら、もう一度読んでみる。
あるいは、今はまだ自分がそれを読めるところにいないのだろうと、
一時的に保留してみる。
そういうことが大事だなと、最近はますます思うようになりました。
そして、まだまだ読んだことのない名作がごまんとある……。
読まねば。そして、たまには書かねばね。人生くそ短すぎや。