以降は完結まで毎朝更新します。
さて、第十七話の最後の方に、『作者の気持ちを述べよ』的な発言をしているシーンがあります。本作品は推察力もそうですが、読解力があった方が断然楽しめる作品だと思っています。それは、前々回に述べたように、対比に気付くだけでなく、登場人物の心情を正確に読み取ることで、推察点との相乗効果により、全体の理解を深められるからです。もちろん、以前も少し書いた通り、あまり自信がない方や思考を求められたくない方でも、できるだけ楽しめるようにはしているつもりです。何か難しいこと言ってるなぁぐらいの気持ちで、一度通してお読みいただければ、十分に面白さが伝わるのでは、と恐れながら考えています。
ただ、一つだけ気にしておいていただきたいことがあります。これは作品内でも当初から言及されていましたが、兄妹がコミュニケーションをとる際、会話の論点に対して、『わざと外して』会話を続ける、あるいは締める場合があるということです。二人が論点を見失うことは決してありません。
皆様には、『なんか話ずれてね?』と思うと同時に、『なぜずらしているのか』を考えていただけると、本作品をより楽しめるのではないでしょうか。だからこその『作者の気持ちを述べよ』的な発言ですね。正直、難問だと思います。国語のテストでは、論点が外れた問題と答えの組み合わせが正解であることなどありませんが、二人のコミュニケーションとしては正解ですからね。つまり、文章に対する読解力のさらに上、真の理解力が求められているのかもしれません。