「終わる現実と、終わらない現実の狭間で」を改題し「空の続きは夕暮れに」としました。そしてなんとか無事に完結いたしました。お時間がありましたら、お付き合いいただけると嬉しいです。
舞台設定は三重県熊野市〜和歌山県新宮市。過去の水害は伊勢湾台風をモデルとしています。舞台となっている月夜野は群馬県の旧月夜野町とは無関係の架空の都市です。月夜野神社の例祭は広島県の厳島神社で行われる管絃祭をモデルにしました。
完結すると達成感とともに自分の文才のなさにへこみます。創作って並大抵のことじゃないな、なんて考えながらも次はもっと頑張らねば………の繰り返しです。
「空の続きは夕暮れに」の物語としてのクオリティはともかく、本作品の中に僕の思想的バックグラウンドを貫き通せたことは、自分なりには納得できる部分ではあります。
テツガクシャ風に言えば、本作品を貫く思想は反プラトン主義です。何か絶対的に正しいものがある、そこから外れたものは悪であり、異常なものであり、忌み嫌うべきもの………。正常/異常の区別や、いじめの問題、あるいは病名というレッテルもこうした世界に対する境界線の引き方に存しています。そして境界線は引かれるべくして引かれるというよりは、そこに線を引きたいという誰かの関心に基づいている。そこに理由や根拠なんてないんです。僕はそんな線引きに抗おうとした。
僕たちは常に理由を探している。でも理由を探さなくてもよい、もっと自由な生き方もあるんじゃないか、この物語を通じて、僕はそう自分に言い聞かせたかったのかもしれません。