こんにちは~
暑い、暑いですね。
植木の水やりをするだけでグッタリしてる今日この頃です。
さて突然ですが、皆さまはジョゼフ・フーシェという人物をご存じでしょうか?
激動のフランス革命期をしぶとく生きた政治家なんですが、私にフーシェを思い出させてくれたのは四谷軒さまの『背徳を浴びる鳥のうた ~亡き王子のためのパヴァーヌ~』という作品を読んだからでした。
あ、それと『ベルサイユのばら』はご存じでしょうか?
若い人は知らないかと思いますので簡単にご説明します。
『ベルサイユのばら』(以下:ベルばら)とは池田理代子作の大ヒット少女漫画で、男装の麗人オスカル(架空の人物)とルイ16世妃マリー・アントワネット(実在の人物)を主人公にしたフィクションです。
フランス革命前と直後を舞台にしており、本編はマリー・アントワネットが処刑されるところでほぼ終了します。
宝塚歌劇でも上演され(こちらもヒットしました)、アニメ化もされました。
で、四谷軒さまの『背徳を浴びる鳥のうた ~亡き王子のためのパヴァーヌ~』ですが、ベルばら後の王政復古の時代の話しで、ここにジョゼフ・フーシェが登場します。
この男はありとあらゆる悪口で形容され(裏切者とか策謀家とか変節感とか背徳者とかマキャベリストとか)それはどれも正解だと思います。
四谷軒さんの作品も冒頭、
「突然扉が開いて、悪徳が犯罪に腕をもたれながら、音もなく入ってきた」
というところから始まりますが、これはフーシェとタレーランの登場シーンで、二人を簡潔に表していると思います。
ちなみにタレーランもフーシェと変わらずとんでもない野郎で、どっちが悪徳でどっちが犯罪かわからないくらいですが、タレーランは足が悪かったので悪徳がタレーランで犯罪がフーシェでしょうか。
ただ二人とも政治家としては超一流であったことは間違いないと思います。
物語はマリー・テレーズ王女(ルイ16世とマリー・アントワネットの娘)が部下のシャトーブリアンに、フーシェにルイ・シャルル(ルイ17世でマリー・テレーズ王女の弟)の死の真相を知っているか問いただせ、というところから展開していくのですが、結末はぜひ読んで確かめて頂きたいと思います。
四谷軒さまは歴史をベースにした作品を多く書いておられますが、私が初めて読んだのは『きょうを読む人』でした。
こちらもとても良い作品なので(カクヨムWeb小説短編賞2021短編特別賞作品です)是非お読み頂ければと思います。
また今日『七月の七分七十七秒のゆくえ ~革命のエチュードを、きみに~』という作品を公開されており、こちらにもフーシェが登場しますので併せて読んで頂ければより楽しめるかと思います。
さて、歴代の政権を渡り歩き、処刑という名目でリヨンで多くの人を虐殺し、かつての恋人の兄で昔は友でもあったロベスピエールを断頭台へ送り、警察卿という大臣職に着いてからは様々な情報と秘密を集め権力を振るい、ナポレオンの妻ジョゼフィーヌ皇后までも買収し、ナポレオンを追い落とし、ルイ18世の王政復古のお膳立てをした男もやがて失脚の時がきます。
そのきっかけを作ったのがマリー・テレーズ王女であり、また引導を渡したのがタレーランというのが何とも皮肉な話しです。
ただ家庭人としては良き父、良き夫だったことが伝わっており、人はわからんもんだなあとも思います。
今回、私も改めてシュテファン・ツヴァイク著の『ジョゼフ・フーシェ』を読み返しました。
フーシェは確かに褒められた人物ではありませんが、激動のフランスを生き抜くためにはこれぐらいじゃなきゃダメだったかも、とも思います。
ベルばらの影響か今でもフランス革命期に惹かれますが、ナポレオンも恐れた男、フーシェが登場する作品をご紹介しました。
暑いですがお読み頂き、一般的にはあまり知られていないフーシェの魅力を知って頂ければ幸いです。
フーシェ関連作品
『背徳を浴びる鳥のうた ~亡き王子のためのパヴァーヌ~』四谷軒さま
https://kakuyomu.jp/works/16817330658267033643『七月の七分七十七秒のゆくえ ~革命のエチュードを、きみに~』四谷軒さま
https://kakuyomu.jp/works/16817330659687841473『ジョゼフ・フーシェ』シュテファン・ツヴァイク
フーシェとは関係ない作品
『きょうを読む人』四谷軒さま
https://kakuyomu.jp/works/16816700428558630563『ベルサイユのばら』池田理代子