私がユーザー登録した昨年秋から、読んで読んで読み散らかした中で、あまりの美しさに浮上して燦然と輝いたように見えた作品……つまり単なる好みです! をご紹介するノートです。
あ、皆さん、私のゲテモノ企画にご投稿もありがとうございますー。「下手物が読まれる店」
https://kakuyomu.jp/user_events/16816452220600122775もっとメジャーな、蛇とかカエルとかをテーマにしたら良かったですかねぇ。
しかし、詩・童話・その他の週間ランキングで私の「吊り橋」作品が2位に浮上しました。すぐに谷底に消えますので、お許しを!! こういうことは滅多にないので嬉しい気もしますね。刹那な喜びですが……。
さて、ランキングの続きですよー。
6位 忘れの里の仲間たち
友未哲俊さん
https://kakuyomu.jp/works/168164104139753177307位 SOMEBODY PICK UP MY PEACH
緯糸ひつじさん
https://kakuyomu.jp/works/11773540548953159268位 本を抱いて登る
杜松の実さん
https://kakuyomu.jp/works/11773540549346632459位 琥珀畑
安良巻良介さん
https://kakuyomu.jp/works/117735405493585611010位 シーラさん
マツダシバコさん
https://kakuyomu.jp/works/11773540548901969406位以下、結構「変わりもの作品」が集まっていませんか? いや、1位から全体的にそうですかね? 私的には自画自賛できるラインナップ。よくぞ見つけてきた、発掘の成果が……喜びですね。
感想を!
6位 友未さん
この作品、痺れる大人な雰囲気でもう好み過ぎ、な感じでした。ちょっぴりホラーで、しかもご夫婦の愛情の物語。マタニティーブルーの話、そしてトランスジェンダーも出てきて、「忘れの里」という不思議な精神世界のお話も出てくる。シリアスな内容に「読み応え」という言い方はしたくはないのですが、さまざまな味わいが含まれていて、怖いのに、深刻なのに、お兄さんが出てきたあたりからフッと闇がほぐれてきて主人公と共に心が広がっていった、そういう素敵なお話でした。
友未さんは文章も素敵でその辺も安心して読めます。私の小説にもご意見頂いたおかげで、自信につながりましたので、そういう意味でも感謝しています。
また、友未さんの物語は決まった「型」のようなものがありますね。その世界観も好きです。いつも違ったタイプのお話をいろいろ書いておられる作家さんも器用で羨ましいと思うのですが、私はどちらかというと、「いつもの」が味わえる方が安心できますし、のめり込める感じ。芸術とホラーと静けさ……この中にあの「すっとぼけた」感じをよく盛り込めるなー、と思います。友未さんのような洒脱な雰囲気の作家さんが真面目な顔してここまですっとぼけるなんて、ひっくり返りますよね。意外性の勝利、ですね。
7位 緯糸さん
「よこいと」さんとおっしゃるのでしょうか。私がこの方の小説を読ませて頂いたのは、第一回雨野川小説大賞ですね。「海難」という、結構な個性的作品がありまして、それを読んだ時、一読で好きだとわかりました。絵本のような雰囲気で始まりながら、オチの仕込みで唐突に、ぶっきらぼうに、驚異を与えるという。
「ワザ師」的な作家さんかもしれませんが、それだけだと一つ作品が読めても後は読まない……となりがちですよね。あれは好きだったけど、他はちょっと、とか……。なので単純に、文章というか空気が好みなんだと思います。
私が選んだ小説「〜PEACH」は、有名なアレですよ。アレを描いた作品はそれこそカクヨム内にどれほどの数あろうかと思います。そんな中で、こんな風に書いた人はそういなかった!
それだけでも驚きなのですが、とにかく文章が、青春が、染みる。もうネタバレ覚悟で言っちゃいますけど(タイトルでだいたいわかるから大丈夫でしょう! きっと)、中坊が自転車でキラキラな仲間たちと鬼退治とか! 雉がヒロインで甘酸っぱい感じとか、もう笑っちゃうのに胸が痛くなる。うまい、うますぎですね……。
私が緯糸さんの文章に感じた空気も、柔らか(しなやか)で若い、そんな空気でした。こういう爽やかさは私にはないので、惹かれたのかもしれません。
ちなみに私は最近、フォローが多すぎて機能として使えないので、マイページに独自の「ラベル」を作っています。「何度も読み返したい作品」というタイトルで、ここにご紹介した作家さんはすべて入れてあるので、いつでも飛べます! 楽しめます!
8位 杜松さん
ねずさん作品は、文章から心が引き締まる思いがしますね。きちんと読まなきゃ失礼になりそう、みたいな。私は残念ながら、日本文学をあまり読んでいないので、いわゆる日本人作家っぽい文章だと「ちょっと無理かも」と気持ちが離れていくことが多いです。ユーモアか自分に興味のある分野が描かれていれば読めます。この辺、私の個人的事情やワガママといったところですが。
ねずさんの作品は、現代と古き良き文学との不思議な融合感がありますね。この作品も出足から驚いたというか、舞台が現代なのかそうじゃないのか、すぐにはわからず探るような気持ちで。まさに主人公と共に列車で時間を遡る魔法にかけられていくのだろうか……と不安とドキドキがありました。なにが起こるのだろうと。
その魔法を演出する、古風で堅い表現が多用されていますよね。でも違和感がありません。主人公の男性がとても紳士だし、物語も硬派。
微妙な関係である後輩女性との旅。下世話な人間が読むと下世話な方向に想像を広げるでしょうけど、そのような空気をぶち壊す展開もなく、読書、天体観測などねずさんの好きな(きっと好きであろう)世界を語りながら、エッセイ風であり、レポート小説みたいであり、青春物語でもあるといった不思議な作品。
深奥が馨ってくる。そういう意味でも文学の宇宙を見せている、と言えるかもしれません。私がコメントで、びっしり本の詰まった本棚みたい、と言ったのは、そういうことかもです。図書館も、一つの宇宙ですものね。
9位 安良巻さん
安良巻さん作品は、本当に独特ですよね。不思議な短いお話ばかり専門に創られています。
正直、安良巻さんなら「琥珀畑」以外でもっと名作があるでしょうに、と思います。実は「夜のしゃんだらだん」も結構好きで、いわゆる世界と文章を味わうタイプの作品ですから、はっきりとしたドラマとか、オチはないものですよね? だからこそなのか、なぜか意味とか、物語を余計に探そうとしてしまうのです。なぜ作者の思惑と別に、読者が、ファンが、勝手にそのような趣味に走ってしまうのか!
私にもわかりません。これは、脳の自然な欲求なのです。「ない」と言われると求めてしまう……。
「琥珀」は、安良巻さんの作品の中では少し異質なのかもしれません。なので、本当のファンはこれを選ばないかもしれない。にも関わらず私がこれを贔屓するのは、ただただ文章と風景画の美的レベルが理由です。
当初は、これほど綺麗に出来あがってるものは、きっとすぐに飽きてしまうんじゃないかと思いました。でも、改めて読み返しても、一文一文やはり強く引き込まれますし、私はこの黄金色の風景を知ってる……と強く感じる。
幻想世界での束の間の遊び、意味のない戯れ、どんな辞書にも載っていない単語、存在しない器物……。しかし唯一存在していそうな、私にとって現実味を感じた風景であり作品世界。これを見て語っている、タバコの火を片手に歩く人物にすごく同化できた、近しい気持ちでいられた、そういうお話でした。
10位 マツダさん
この作家様の作品は、本当に偶然知って、読んで、惹かれた感じです。
次回のヒトキワ荘の企画を「昔の笑いで出ています」というタイトルではなく、「シーラカンス杯」にしたらどうだろうとふと思い浮かび、ほんの遊び心で「シーラカンス」タグで検索。
すると、この生きた化石をテーマにした作品が数作、浮かんできたじゃあありませんか!
その中で唯一、面白そう、と開いて読んでみた作品がこちら。出勤前の朝だったのに、まさかの風俗嬢のお話で、濃いわー、とビックリしましたけど……。
シーラさん、という不思議な元風俗嬢(現役?)の女性のお話ですね。そしてシーラさんに絡む主人公の女性も風俗嬢。なんか、シーラさんのビジュアルが「マンガっぽい」とは思ったのですが、意外にしっかりしたドラマがあり、シーラさんの過去とか、その生き様、語り、全てがリアルで。
後半、かなり危うい感じになっていくのですが、やはりシーラさんが救っていく。
物語がある意味綺麗にできているので、物語を楽しみたい、という方にはいいと思います。好みがかなり割れそうな作品。
同じ作者様の他の作品もいくつか読みました。どれも同じトーンで描かれていて、ご自身の世界がある方だと思います。私にうまく表現できるか自信がないですが、あるものがあるべき場所にちゃんと置かれて、シンプルにスッキリ形造られているスタイル。特に空白を見せるタイプ? 余韻があります。
だからといって物足りないとか飽きるとかいう感じでもありませんでした。静かな吸引力がありますね。ここ最近の活動歴がない気もしますが……。まだ書いていらっしゃるのでしょうか。
そうですね、マンガというより絵本的なのかもしれません。きっと作者様は童話がお好きなのかも。そういう空気を醸していますね。なので、絵や童話が好きな私にとっては好もしく感じるのだと思います。
以上でございます。
また、下半期に向けて、読者としても頑張れたら……。企画で、ヒトキワ荘で、新しい作家さんと出会えるかな?
それともタグ検索の方が優秀か? そちらもやっていきましょう。
では、また。失礼します。