上山 詩生

ここには、嵐を鎮める為に海神に生贄を捧げる風習があった。生贄はこの地を治める支配者の妻でなければならない。だが妻を差し出せないときは、身代わりの女を一夜の妻として神に捧げるのだっ…

双子の天使が住まう街。 星に満ち溢れた静かな街。 彼らに課せられた任はひとつ。 輪廻転生、未来への祝福。 繰り返す毎日に、彼らの心は塗り替えられていく。 この街は美しく、そして悲…

少年オルグロはただ認められたかった。 そのために伸し上がる過程で、友人など必要だろうか。 青年アイータはただ好奇心旺盛だった。 研究を追う中で、豊かな感情など必要だろうか。 …

人は、生まれた時に一つだけ「言霊」を得る。 言霊とは、言葉を具現化できる奇跡の力。 一人一人に神から与えられた超常の力だ。 善行に使うも、悪用するもその人間次第。 日ノ本の巨大…

三〇〇年を生きた老君主が死んだとき、ひとりの青年は南の港を目指す。 羽毛ある蛇の国、そこに住まうという運命のつがいを求めて。（『竜の腹』）

人には見えない、神は手を下せない穢れを祓う『祓い子』の話。 人から生まれた穢れは、結局、人。

ゲームにハマって仕事をしてくれない神様を何とかするため、天使のルシフェルは日々、頭を悩ませる。

かつて村を作り、町が栄え、国を建てた人類は魔物の強襲により人口が四分の一まで減少した。そんな絶滅寸前に追い込まれた国──ベストコア帝国を救ったのは、たった5人の人間によるギルド“…

「火竜」と呼ばれる命知らずの傭兵と大陸を旅する「語り部」パルヴィーズが、夜毎に語る、妖しくも美しい「魔物」に魅入られた者達の恋物語。 「大陸」と呼ばれる世界に伝わる異類婚姻譚や…

助けたかった人を助けられなかったとき、もう「次」がない場合。 後悔とどう向き合って希望に変えるのか。 これは君が知らない、君への約束。 ※小説「白矢の雨」で書き切れなかった、と…

エリは幼いころ父親に置き去りにされ、女子修道院で育つ。 ある日、見知らぬ少年がエリを訪ねてきた。どうやらエリの父親について知っているようだ。父を待ちつづけたエリは女子修道院を出て…

私が王立研究所の研究員になってしばらく経つ。このたび、晴れて昔から夢だった生物「空魚」研究所への転任を命じられた。 さあ、一刻も早く、舟の渡し守を見つけて空魚の背に渡らなければ。…

主な登場人物 マシュー 冬眠から目が覚めたら、突然住処をなくした『シマリス』の男の子。 基本的に『人間』と話す事は嫌いではない。 しかし、猟師（りょうし）の人など中には苦手とし…

　塔は白い。あなたは小さい。 　あなたは見上げる。頂は見えない。 　あなたは門を開ける。歩く。 　あなたのうしろで門が閉まる。 　あなたは塔に入る。