• ホラー
  • SF

怪異—怪シイ話—、あとがき

 年始から連載していた作品『怪異—怪シイ話—』を完結させました。
 全編が約六万字。タイトルを似せた同じ連作短編形式ホラー『怪異—百モノ語—』と比べると、大分文字数の少ない作品となりました。
 まあ、それもそのはず。今作は執筆に取り掛かる前に、一話を千字以内に収めようという制限を設けていたからです。
 なぜかというと、単に練り込んだ話を産み出す余裕が無かったというのが一番の理由なのですが、第二の理由として、極限まで文字数を少なくしたソリッドな怖い話を書いてみよう、というのがありました。
 『怪異—百モノ語—』は元々、完全にノープランで書き始めた作品であり、後から形式と構成を付け足したとはいえ、文字数も視点もまったく制限を設けていませんでした。その為、各話の文字数が多くなり、全体的に膨れ上がった構成となってしまったのです。
 もっとも、その無作為さが功を奏したのか、現時点では拙作の中で一番読まれている作品となっているのですが、僕の中では、展開や構成はもちろん、もう少しソリッドにできたのではないかという反省がありました。
 そんなモヤモヤを抱えていた昨年の年末、約一年に渡ってうだうだとこねくり回していた長編に終わりが見えてきたのと、そのせいで昨年はほとんど作品を公開できなかったという反省もあり、来年こそは気を入れて活動しなければと一念発起し、自分の尻に火を着けてしばき回す気持ちで、『怪異—怪シイ話—』の執筆を開始しました。ホラーにそぐわない正月真っ只中の一月一日から連載を始めたのは、その為です。
 先述の通り、『怪異—百モノ語—』とタイトルは似せているのですが、千字以下でほとんど会話形式、という制限以外は、結局ノープランで書き始めてしまった為、特に作品同士の繋がりはありません。まあ、キリのいい百話で終わらせた連作ホラー短編集なので、姉妹作品とでも言えばいいでしょうか。
 それでいうと、『怪異—百モノ語—』と同じく、書いている時は割合に楽しかったですね。千字以下の会話形式という縛りはあったものの、思いついたアイデアや一発ネタ――洒落怖ネタ、往年の都市伝説ネタ、POVネタ、フェイクドキュメンタリー風のネタを組み込むことができたので良かったです。僕は説明過多なダラダラした文章しか書けないので、短文で手際良くまとめるという点では、ある意味、修行になったのかもしれません。
 それはそれとして、あまり会話形式という形が生かされていないのと、いかにも組み込めそうなミステリー成分が皆無というのは、また新たな反省点ですね。同じ建物名や要素をそれとなく出したものの、所詮はふんわりとした繋がりにしかなっていないので、情けない限りです。
 とまあ、長くなりましたが、今作を読んで頂いた方々、フォローして頂いた方々、応援やレビュー、コメントをして頂いた方々に、感謝を申し上げます。三カ月弱の間、活動に当たっての多大なる励みになっておりました。また、年始から毎日連載し、TwitterのTLに宣伝ツイートを垂れ流し続けるに当たって、いいね&RTで応援してくださった方々にも、感謝を。こちらも、とても励みになっておりました。本当にありがとうございました。



追伸

 今作の連載の影響かは分かりませんが、他の拙作にも少しずつ読まれが発生し、やはり活動し続けるということは有意義なことなのだなと実感しております。
 この状態を維持する為に、また近い内にひとつ短編を公開する予定なのですが、それが終わった後は、少々鳴りを潜めることになると思います。しかし、昨年の暮れに宣言した通り、今年はどうにか精力的に活動していく所存なので、今後も、またあの南京虫が何かやってんな、という風に冷ややかな目で見守って頂ければ幸いです。

1件のコメント

  • 連載お疲れ様でした。
    百モノ語は初めて読んだ時、すごくハイレベルな怪談だと思いました。ホラー好きとして怪談や怖い話をたくさん読んできた方だと自負していますが、本当に読み応えがありました。

    椎葉さんの才能はとても羨ましいし、惹かれるものがあります。
    もしかして公募に挑戦されているのかなと思いますが、どんな形でもご活躍を応援しています。
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する