椎葉伊作

　カクヨムにて、椎葉伊作として活動を始めて、五年が経過しました。

　ぼちぼちと振り返ってみると、今年は今までにないくらい活動し続けていた年になったと思います。初っ端から短編集を公開し始めたり、KAC2023や自主企画等に参加したり、短編を公開したり、文字数の規模で言えば最大の長編を公開したり……。結果が伴っているかと言えばまったくそんなことはないのですが、長編と短編を一作ずつしか公開できなかった去年に比べれば、割合に動き続けていた年だったのではないでしょうか。
　長編の方はそれぞれ完結させる度にうだうだとあとがきを書き綴っているので、短編をパッと振り返ってみると、

『縫い包み』
　KAC2023の参加作品です。そもそもの企画主旨が〝定期的に出され続けるお題に沿った777字以上の作品をリレー形式で期間内に書いてキャンペーンに参加する〟というものなのに、言うに事欠いてそれをフルシカトし、〝ぬいぐるみ〟というお題から連想した１万字弱のホラー短編を単発でぶち込むというまったく空気を読んでいない作品ですが、これまで書いてきたホラー短編の中では一番気に入っているものになります。SNSやYouTubeで他人の人生を切り売りして承認欲求を満たしているような人に是非とも読んでもらいたいですね。でも、こう書くと去年書いた『🔁~Repeat Playback~』とやってることは大して変わらないな……。

『人為の虚像』
　偽教授様が主催された自主企画に参加させて頂いた近未来SF短編です。SF作品を書いたのはほとんど初めてのことでしたが（SFができているかどうかは知らない）、どうにか見様見真似で組み込んでみたミステリー要素が功を奏したのか、自主企画の主催であり、審査員でもある偽教授様の個人賞を頂くことができたので良かったです。といっても、出来の粗さは酷いものなので、SF的な設定を作り込むのは難しいなあと思い知りました。最初は露悪的なホラーにしようと思い立って書き始めましたが、最終的にそうではない結末に着地したのは良いことなのか悪いことなのか。

『『ミルナの怪』についての記録』
　確か『オウマガの蠱惑』の調整が終わって、夏なんだしひとつ怪談でも書こうと思い立って書いた作品です。ちょうど世間がモキュメンタリーホラーに沸いていたので、前から薄っすらと構想していた違法アップロード動画に現れる怪異というアイデアを種にそれっぽく仕上げてみたのですが、なんとしばらくしてからカクヨムの金のたまごに選ばれ、公式からレビューを頂く事態となりました。初めてのことだったので、とても嬉しかったです。まあ、流行に乗っかって調子のいいことをしたと言えばそれまでの話なのですが、個人的にはインターネットにたくさんいるファニーな人たちを書くことが楽しかったので、満足しています。

　短編の方は以上で、長編は二つ完結させることができました。しかし、『怪異—怪シイ話—』はたった６万字程度の短編集なので、正確に言えば長編とは言えません。でも、『陰VISIBLE OF THE DEAD』は28万字ですし、今現在連載している『オウマガの蠱惑』は35万字で完結する予定なので、今年の抱負として掲げていた長編を複数公開するという目標はなんとか達成できたと言えるでしょうか。が、それとは別に、『陰VISIBLE OF THE DEAD』と似たような状態で塩漬けしたままにしているものがひとつあるので、進捗の方は相変わらず南京虫並み。情けない限りです。
　
　しかし、それでも南京虫なりに今年一年活動を続けて来られたのは、ひとえに作品を読んで頂いた方々や、レビューや応援、コメント等でレスポンスをして頂いた方々のおかげです。皆様には、感謝の念が堪えません。日々、活動する励みになっておりました。特に、『『ミルナの怪』についての記録』が公式の目に留まったのは、皆様から頂いていたレビューのおかげだと思います。多大なる励みを頂きました。本当にありがとうございました。
　来年も、皆様から頂いた励みと、色々なものに対する怨みの念を原動力に活動していこうと思います。抱負としては、とりあえず『オウマガの蠱惑』を無事に完結させることと、弄り回しているものをできれば期限内に公開することと、塩漬けにしているものをいい加減に終わらせて公開することを念頭にやっていこうと思います。その内の二つを達成すればまた長編を複数公開、完結させたことになるので、及第点と言えるかもしれません。

　ということで、2024年も相変わらず、椎葉伊作は浅はかに存在します。引き続き、あの野郎まだ何かやってんなと冷ややかな目で見守って頂ければ幸いです。