最初に植えてから5年ほどが過ぎた。
秋に花を咲かせるはずが何度も失敗してきた。
ぼくはリンドウという花が好きだ。
インパクトのある花なのに、ひっそりと控えめに咲こうとするイメージが好きだ。
繊細な植物で、なかなか花を咲かせてくれなかった。
毎年、夏の暑さに耐えられなくて枯れてしまう。
多年草だから、根が生きていればまた再生する
が、毎年夏を越せない。
植木鉢を日陰に置くようにして、少しでも暑さをしのげるようにしてみたが、今年は夏を迎える前に長雨に祟られて、2本のうち1本が枯れてしまった。
もう一本も枯れてはいないにしても、葉が黄色くなっていた。
今年もダメかと思っていたが、夏場にかけて枯れなかった一本の方の葉が緑色を取り戻してきた。
枯れた方も萎れた枝を抜いてやると、新しい芽を出し始めた。
あんなに弱かった夏場に、なんと復活しようとしていた。
小さな生命なのに、懸命に生きようとしている。
なんと健気で力強いんだろう。
ぼくは毎朝欠かさず水をやってサポートした。
そして迎えた11月、苦しい時を乗り越えたリンドウは、小さくてかわいい紫色の花を咲かせてくれた。