帰宅途中の交差点。
駅前にあって交通量もかなり多い。
信号待ちをしていると、1匹のアゲハ蝶がヒラヒラと交差点に舞い降りてきた。
そのアゲハ蝶は弱っているのか、走って来る自動車の風圧から逃れられない。
アスファルト舗装の上に降りたり、舞い上がったりを繰り返し、自動車に何度もひかれそうになっていた。
それを見ていた反対側で信号待ちをするお母さんと小さな女の子。
女の子はお母さんが乗る自転車の後ろに乗っていた。
蝶々がひかれそうになるたびに、"キャー"、"逃げてー"と何度も叫び声をあげた。
蝶々は風圧に必死で抗う。
アスファルト舗装に叩きつけられたは、また飛び上がろうとする。
女の子は必死に声援を送る。
やがてアゲハ蝶は空気の呪縛から逃れ、飛び去って行った。
女の子がそれを嬉しそうな顔で見送っていた。