【タイトル】
すれ違う絆。
感想というよりは、改善提案に添った上での意見になります。
あくまでも、素人の意見であることをご了承ください。
まず、全体的な感想は『話に起伏が無い』です。
どうして起伏が無いのか。物語の出来事として『マイナスのイベント』しか発生していないからです。
特に『親友が事故で死ぬ』という、もっとも大きなイベントの前後に、プラスとなるイベントが見受けられませんでした。
重要となる、中盤以降の「物語の流れ」を簡潔にすると、
1.主人公と友達が遊びにでかける約束をする。(プラス・小)
2.主人公が友達に約束をすっぽかされる(マイナス・中)
3.理由が判明。関係がさらにこじれる(マイナス・中)
4.風邪をひいて寝込む。会わない日々が続く(マイナス・小)
5.夢のお告げ。予兆。翌日に友達が死ぬ【マイナス・大】
6.後悔する主人公。時間だけが過ぎる(マイナス・小)
7.年が明ける。亡くなった友達を想い、完結する(プラマイゼロ)
以上のように、マイナスイベントが続くことになります。
これは仮定の話ですが、もしも、とある運動部の青春ストーリーを書いたとします。エンディングAとエンディングB、どっちが良いか考えてみてください。
【エンドA】
・弱小の野球部が、やはり今年も予選1回戦で敗北。
・何も結果は残せず、主人公はくやしい想いをして終了。
【エンドB】
・弱小の野球部が、やはり今年も予選1回戦で敗北。
・何も結果は残せないが、主人公は先輩の意志を継いで再起を誓う。
選ぶならどっちだと聞かれたら、まず【B】です。そして大方の作者も【B】を目指し、物語を書きあげるのですが、結果として【エンドA】に見られるパターンが多々あります。
作者が【B】に至る話を書いたつもりが、
読者にとっては【A】だった。
その最たる理由は、物語に起伏が無いからです。わたしがこの物語(すれ違う絆)を読んだ時も【A】のパターンであると思いました。
つまり、作者さんの意志がどうあれ、この物語はわたしにとって、何もプラスとなる事例が残りませんでした。単純に『友達が死んだ。哀しい』という話です。
物語を改善するなれば、どこを、どうすればいいのか。
以下は、わたしの創作論になります。まずは原稿を印刷して、紙媒体のアナログにアウトプットしてみてください。赤と青のボールペンを用意します。そして紙に直接、イベント内容に青ペンで「プラス」を、赤ペンで「マイナス」を記入して、自作品の【持ち点】を意識してみてください。
わたしがやるとこうなります。
持ち点【10】
イベント重要度・大
1.主人公と友達が遊びにでかける約束をする。(プラス・1)
2.主人公が友達に約束をすっぽかされる(マイナス・3)
3.理由が判明。関係がさらにこじれる(マイナス・3)
4.風邪をひいて寝込む。会わない日々が続く(マイナス・2)
5.夢のお告げ。予兆。翌日に友達が死ぬ【マイナス・5】
6.後悔する主人公。時間だけが過ぎる(マイナス・1)
7.年が明ける。亡くなった友達を想い、完結。
合計(マイナス13)
10-13=-3
数字は適当で構いません。プラスやマイナスも、各々独自の解釈で構いません。だいじなのは、癖をつけることです。
作者は自分の作品に愛着がありまくるので、書いてる時や、後で読み返してみる時に「今、わたし何点もってる?」と、自作品を俯瞰する、客観的に見つめる、それを意識的に行うために、わたしは【得点】をつけて、紙に直接ボールペンで記入しています。
そして、マイナスイベントが多すぎると思ったら修正します。
意識的にプラスを挿入して【持ち点】をあげます。
1.主人公と友達が遊びにでかける約束をする。(プラス1)
2.友達が待ち合わせ場所にやってくる。私服可愛い(プラス2)
3.映画を見る前に、オープンカフェでお茶。
友達がしきりに携帯を見つめる。顔色がすぐれない(変化なし)
4.理由が判明。祖父の体調が思わしくない(マイナス1)
5.映画館の前。開演直前で友達に電話。祖父の体調が急変した。
映画は見られず、お揃いの小物だけ買って帰る(ゼロ)
6.深夜、友達から電話。祖父が死んだ(マイナス2)
7.学校で再会。元気のない友達。
落ち着いたらまた遊びにいこう。
ポップコーンの大きいやつを二人で食べようよ。(プラス1)
5.夢のお告げ。予兆。翌日に友達が死ぬ【マイナス5】
6.呆然とする主人公。時間だけが過ぎる(マイナス2)
7.一人きりで映画を見に行く。
ポップコーンを食べる。
映画の主人公が言う「それでも前に進まなきゃ」
共感。しょっぱい。泣いている。再起を決意。(プラス2)
8.数年後。高校を卒業し、一人暮らしを始めた主人公。
テレビ放送で、あの時の映画が放送される。
亡くなった友達を想い、完結。
ざざっとやって、こんな感じになります。
こんな感じに仕上がったら、わたしの場合は職場の人に見てもらい、意見をもらい、意識合わせをした後、また修正にかかります。
ちなみに「んー、あきらさん、生まれた瞬間からやりなおそ?(笑顔)」と言われる可能性もあります。無かったことにされたら、それはそれでまた、前進している事になります。なっていると思いたい。なれ。
盛大に脱線しましたが、要は『今のままでも悪くないけれど、意識的に起伏を作ってみれば、もっと良い物ができますよ。それは約束できます』という事になります。
感想は以上です。
今回は自主企画にご参加いただき、ありがとうございました。
秋雨あきら
(2017/11/15)