表題の通りです。まだすべてを読めたわけではないのですが、こちらに私の個人的なおすすめ作品を書き記しておきます。連絡板に直接書き込もうとも思ったのですが、そういうのが苦手な作者様もいらっしゃるかもしれないので、ワンクッションおいてみようと思った次第です。(あと単純に長すぎる。)問題なさそうなら、連絡板にリンクをコピペしようという魂胆です。
以下ご理解いただければ幸いです。
* あくまで個人的な好みと感想です。少々ズレたことを言っていても生暖かく見守って頂ければ幸いです。
* ここに挙げなかった作品がよくないなどと申し上げるつもりは毛頭ございません。拝読させて頂いた限りどれも本当に面白く、本当はすべてご紹介させて頂きたいくらいです。
* ということで暫定版です。随時追加していきたいと思います。
*紹介順に意味はありません。思いつくまま気ままに書いています。
* 問題があれば修正もしくは削除しますのでコメント欄にてお知らせください。
*(2024/05/01 5作品追加)
ではスタートです。
『パレードが続くなら。』 月庭一花 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093075536580188 初めて読んだ際、本当に息が止まるかと思いました。説明不要。読んでください、ただ一言そうお伝えしたいです。女性同士の美しく幻想的な物語がお好きな方には特におすすめです。他にも、ゆきのまち幻想文学賞で佳作を受賞した『山に還る』、『銀色抄』をはじめ、多くの素晴らしい作品を公開して下さっています。一気にファンになってしまいました。
『画鋲』 鳥尾巻 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093074890155871 目に見えない「怖さ」に侵食され、徐々に現実世界がズレていくような感覚を味わいました。読者の様々な感情を引き出す傑作だと思います。実は少し前に『いとしと書いて藤の花』という作品に衝撃を受けたのですが、今さらながら同一作者様であることに気付き震えました。かと思えばKOUJIも……。振り幅がすごい。
『桜菫抄 おうきんしょう』 上月祈 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093074822956300 美しい日本語で紡がれた幻想的な物語です。上月先生は詩や短歌もすごく素敵です。敬体で書かれた優しく美しい日本語が体中に沁みわたるようで幸せな気持ちになりました。主人公を惑わす手弱女(たおやめ)も、怖いだけじゃなくて儚くどこか健気な印象があって好いですよね。私なら振り返ってしまいそうです。
『ハルちゃん』 ヒニヨル 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093074884148156 「春」というテーマはネガティブな感情や事象を軸にした方が書きやすいのではないかと思っていたのですが……そんなことないわよとぶん殴られた気分です。まさに衝撃でした。ヒニヨル先生が描く青春には、思わずドキッとさせられる色気も含まれていて、そこがまた堪らんのです。何度でも言いますがハルちゃんかわいい好き。
『【短編】 春の葬送』 紫波すい 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093075314247648 長いこと読み専だった私にはとても刺さりました。もうどこを探しても読むことができない、記憶にしか残っていない大好きだった物語達。ちゃんと覚えていますよと叫びたくなりました。優しく丁寧に、宝物のように紡がれた言葉が本当に素敵で、私は大好きです。読む方にも書く方にもおすすめしたいです。
『凛と咲く花の季節に。』 ハマハマ 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093075068270015 四千字という縛りの中でファンタジー世界を描くのは容易ではありません(少なくとも私には)。普通なら最初にその世界の設定を説明したくなります。ですがこの作品はストーリーと、セリフの中で自然に世界を立ち上げていきます。そこがすごい。辛夷の花も世界観とよく合っています。花言葉まで意識されているのかな、なんてニヤニヤしちゃいました。また単独で面白いだけでなく、スピンオフとして読者を本編へ誘導してしまうところもお見事です。(そして私はあの衝撃に出会うのであった凸凹)
『春をひさぐ』 スロ男(SSSS.SLOTMAN) 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093075573970885 性を語りながら、ふらふらと読ませておいて、最後に強烈な余韻を残し、生を問う。うまい方ってなんでこんなことがさらっとできてしまうのでしょうか。文章に色気とある種のだらしなさが乗っていて、そこがまたカッコいい。なんでしょう、ダメ男に絆される女性の気持ちがほんの少しわかった気がします。クセになりそうです。
『純情と桜』 諏訪野 滋 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093074125658735 本来交わることのない二人の物語がほんの少しだけ交差し、また離れていく。こういうの大好きです。たった数分の出来事を切り取りながら、過去、現在、未来を描いてしまうところも素晴らしいです。この短い時間で心がどう変化していくのかが丁寧に描かれていて、その心情とリンクするように風向きが変わっていくのも心地好いです。声をかけた方の女性にはどんな物語があったのかも気になっちゃいますよね。
『春と雪』 京野 薫 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093075458939731 日本の旧家を舞台にしたホラー作品です。感覚すべてに訴えかけるような言葉が、優しく、扇情的で、そして怖い。京野先生の独特の言葉選びはいつもセンスに溢れていて大好きなのですが、本作は特にひらがなの使い方が印象的です。ひらがなが持つ本来の柔らかさが徐々に恐怖へと変わっていくのが秀逸です。物語に余白が多く、解釈を読者に委ねているところも、あれこれ想像しながら読むのが好きな人には嬉しいです。この作品がハマる方には京野先生の「闇に、ぽとり」「化身」もおすすめです。
『佐砂井の郷』 佐藤宇佳子 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093074845633845 ジャンルはホラーになっていますが、私としてはこの作品はジャンルを超えた極上のエンターテイメントではないかと。本当にいろいろな楽しみ方ができる色鮮やかな作品です。美しく幻想的な世界に浸るのもいいし、所々に見える野鳥の姿に爽やかな春を感じることもできます。そしてなんといっても二人称。とある仕掛けに思わず、すごっ!と声をあげてしまいました。何度でも読みたくなる素敵な作品です。
『3月38日』 消える魔球はあいみょんの金玉 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093075420536733 おすすめしなくても既にこっそり読んでるいる方が多いのではないでしょうか。彗星のごとく現れ、カクヨムが定めた規制線の上をおにんにん丸出しで愉快に闊歩する天才。そろそろあいみょん様にも触れて欲しい、そんな我々庶民の願いも虚しく、本作でも浜辺美波様にご執心です。なんだったんだこれは、そんなプレミアムフライデーみたいな読後感を味わいたい方におすすめです。果たして今回の魔球は開催期間終了まで消えずに残ってくれるのか、大注目です。
『迷子の春』 時輪めぐる 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093075626418579 佐保姫様がとにかくかわいいです。どれだけ使い古されようとも「のじゃロリ」は正義なのです。大好き。つらいはずなのに、佐保姫様に対して優しい「僕」の語り口も温かくて好きです。後半の佐保姫様と僕のちょっとした旅路がまたほっこりとさせてくれます。ラストのオチも好い! ちょっと元気がないかもって時にまた読みたくなる、可愛らしくて素敵な物語です。
『別れの餞。』 犀川 よう 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093074846207357 参考作品として開催期間の前半にアップされた作品です。参考……とは? そんな感想を抱きたくなる圧倒的な完成度でした。内容が面白いのは勿論なのですが、私は途中で文体が変化していくところが好きです。最初は一文が長く、息が苦しくなるような細かい書き込みによって不安定で官能的な世界に誘われ、逆に後半は短く乾いた空気を帯びていくのが堪らないです。本当に無料で読めてしまっていいのか、そう思える素晴らしい掌編でした。
『ある春の思い出』 ミナガワハルカ 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093075819410803 最期の瞬間まで、どうかいつもと変わらずに。そんなことを願いたくなる、優しくてちょっぴり切ない物語でした。途中でみんなが大好きなアレが出てくるのですが、そこがまたかわいい。とびっきり優しい気持ちに浸りたい時におすすめです。ミナガワ先生はもう一作、『ラ・プリマヴェーラ』という作品も提出されていて、こちらもおすすめです。雰囲気ががらっと変わり、青春の中に潜む喪失とある種の狂気が描かれています。その表現の幅の広さには尊敬の念しかありません。
『ただ、きみをみる。』 豆ははこ 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093075026185002 既に多くのファンがいらっしゃる人気作品なので、今さらかもしれませんね。実は今回の企画を通して初めて豆ははこ先生の作品を読ませて頂いたのですが……衝撃でした。こんな表現方法があるのかと。極限まで削ぎ落としたことによって浮かび上がる言葉の美しさと力強さ。これによって、これでもかというほど感情を揺さぶられました。理屈はわかっても絶対に真似できない極致、薄氷を削って一本の橋をかけるような芸術品。言葉一つひとつが映し出す鮮やかな情景に打ちのめされてしまいました。あと個人的にこういう同性間の淡い関係性が実は結構好きだったりします。当然ながらもう一方の『春の星』も傑作です。いろいろ書きましたが、結局のところ、この作品に余計な言葉は不要なのかもしれません。「ただ、読んでほしい。」それがすべてです。
『繋ぐ季節』 幸まる 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093075228673514 こちらの作品もおすすめという意味では今さらかもしれませんね。ファンタジーが大好きな私からすると拝みたくなるような作品でした。もはや全部がおすすめなのですが、既にレビュー等で素敵なところが沢山挙げられていますので、ここでは少しだけ視点を変えて「ここがすごいポイント」を挙げてみたいと思います。一つめはプロローグにあたる最初の3ブロックです。短く鮮烈に世界を立ち上げるこの数行。この時点で勝負あり。既に私は正座です。そしてもう一つは妖精の描写です。実はこの作品、妖精の見た目の情報がほとんどないのです。にも拘わらず私はこの作品を読んだ際、美しく優しい妖精達が懸命に季節を繋ぐ情景がはっきりと浮かびました。そんな馬鹿な……そんなのまるでファンタジーじゃないですか。そう、極上のファンタジーなのです。普段ファンタジーを読まない方やお子様にもおすすめしたい本当に素晴らしい作品です。
『はるの風』 大隅 スミヲ 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093075228086703 お次も今さら私ごときがおすすめするまでもない人気作品でございます。こちらの作者様の作品も今回初めて拝読させていただいたのですが、本当に驚きました。これほど色鮮やかな情景が浮かぶ歴史ものってほとんど読んだ記憶がありません。お話自体が面白いのはもちろんなのですが、この作品のユニークなところは途中の解説ですよね。短編でしかも字数制限がある中での、この余裕たっぷりの優しい解説。思わず「あなやっ!」と声をあげた読者様も多いのではないでしょうか。しかもこの解説、作品世界を何倍も楽しめるだけでなく、作品全体に漂う余裕を創っていて、それが平安時代の空気とよく合っているのがまた素晴らしい。もっと読みたい、もっと知りたい、そう思わせてくれる素敵な作品です。読書のお供には美味しい干物と獺祭なんていかがでしょう(最高かよ!)。
『コールド・スプリング』 紫陽_凛 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093075032122734 AIに依存した人類はどうなってしまうのか。その答えの一つとしてあり得る未来を圧倒的な筆力で描いています。人類が聴覚を捨てるに至った世界線をこれほどリアルに創造できることも驚愕ですが、この作品のメッセージはさらにその先にあります。とても考えさせられる内容で、まるでいつのまにか埋め込まれたAIチップによって書き込まれたログのように、記憶にこびりついています。このようないつまでも心に響く作品のことを、名作と呼ぶのかもしれませんね。しかも三題噺まで見事にこなしています。すごすぎる。近未来SFが好きな方には特におすすめです。
『ある春の晴れた日に』 dede 先生
https://kakuyomu.jp/works/16818093075595997639 温暖化によって世界が氷河期に変わってしまった未来を描いた作品です。まずこの設定がリアリティがあって好きです。さらにうまいなぁと唸ってしまったのは、春を知る最後の世代である主人公と、冬しか知らない息子という二人の感覚の違いから、冬に閉ざされた世界を描いているところです。このリアルさによって一気に作品世界に引き込まれました。そしてこの圧倒的な世界構築力で、変わり果てた冷たい生活を描きながら、それでも変わらなかった温かな営みを印象付けていきます。この構造が冒頭の設定と対になっているのが好いですよね。ラストのシーンも温かくて大好きです。ぜひ多くの方に読んで頂きたいです。
まだまだご紹介したい作品がたくさんございますが、本日はここまでとさせて頂きます。もし紹介した中にお好きな作品などがございましたら、いいねして頂けると嬉しいです。自分が好きな作品を好きだと云ってもらえるのは嬉しいですよね。
それではみなさま、素敵な休日を!