初めて歴史小説を公開しました。
まだふみも見ず天の橋立
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882834112 すごくいろいろ悩んで、試行錯誤をして書いた短編です。読んでいろいろお聞かせくだされば幸いです。
「歴史もの!」と思って身構えずに、ラブコメだと思って読んでくださるとなおのこと嬉しいです。かなりライトなノリで書いたつもりです。
実は平安時代については日本史の中でも特に成績が悪かったところで、知識ほぼゼロのところから図書館に通い詰めて調べて調べて書いたものです。
一応3ヶ月ほど競技かるた部に所属していたことがあって、百人一首には思い入れがあったんですけど、3ヶ月ではどうも札をとるテクニックのことしか考えられず歌の内容の深いところまでは手が回っていなくて(顧問が数学の先生だったし……)。
今回百人一首を題材に書きませんか?というRTが回ってきて飛びついたのはいいんですけど――「百人一首なら詠まれた時のエピソードがあるからそのまま現代語訳して書けばいいのでは!?」と思って安易に手を出したのがまずかった。
一ヶ月みっちりやって、ハードカバーからソフトカバーまで7冊ほど読みましたが、追いついた気がしない。7000字が限界でした。
でもこの一ヶ月の思いの丈すべてを詰め込んでいるので、どうにか見てもらっていろいろご意見をいただいて勉強したいな、と公開に踏み切った次第です。
歴史ものは難しいです。
「歴史ものはすべての登場人物に子孫やファンがいる」という話題が頭から離れなくて、どの人物も大事に書かなければ、失礼のないように書かなければ、という気持ちはあるのですが、知識は足りないし、調べれば調べるほど新しい説が出てくるし、資料によって言ってることが違うし……。
何より、歴史小説は歴史の資料ではなく創作作品ですから、ある程度のエンターテイメント性が必要なわけで、全員を『いいやつ』にするわけにはいかず、誰のどんな部分を魅力として書くか、にすごく頭を使います。そしてその魅力にも根拠のある説がないことには信憑性がなくなるし、新しい説に出会った時ひっくり返るかもしれないし……。
今回も、大江山の歌が割り振られた時、どんな場面で詠まれた歌なのか調べるところから始まって。
送った小式部内侍より送られた藤原定頼が私にとってキャラクターとして面白かったのでこういうことになりました。
大江山という歌や小式部が好きな人からしたら物足りないだろうし、むしろ詐欺だろうし。
定頼が好きな人からしても、定頼をちょっと情けなく書いてしまったので、納得がいかないかもしれない。
いや、大江山のエピソードが好きな人は定頼は小式部にやられたダメ男というイメージがあると聞いたから、これで見方が変わる――といいな……。一番はそれです。
定頼も本当は実績のある歌人で、百人一首には彼の歌もあります。その歌を詠んだ時はいいパパになっているようです。なんだかんだ言って彼も愛されて育った息子だったので我が子を愛せる男に育ったのでしょう。公任パッパは定頼くんが可愛いんだ……。
乙侍従も百人一首に歌のある歌人で、百人一首には相模という女房名で出てきます。
相模守と結婚したから相模なんだ……結婚する前は乙侍従と呼ばれていたんだ。
でもこの乙侍従と呼ばれていた時代にどこに勤めていたのかがはっきりしなかったので、作中では脩子内親王の女房をしていることになっていますが、違うかもしれません。そこは物語として都合のいい説を採用したということでご承知いただければと思います。