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11月のまとめ

 友人と共作の計画をして一週間足らずで破綻した。
 こう見えて、いやどう見えても何もないが、ゲームをよくやる。特に『ダークソウル3』が好きで、短編に「青ざめた舌」という題をつけたこともある。人食いエルドリッチまわりのストーリーはだいたい全部好きで、これから先に書く小説にも影響すると思う、というか、さいきん考えた話もよくよく見直したらロザリア周辺の物語と似ていて没になった。
 ともかくフロム信者(いまは関係ないがグラスホッパー信者でもある)がノン・フロム信者とゲームを共作して完成するわけがなかった。テーマとか描きたいシーンとかが第一にあるとして、大衆の物語から計測したそれらの座標を言語化しておく作業を必ず挟んでおきたいと私は思う。共作ならなおさらそうしたい。中学生のとき演劇部でオリジナルの劇を作るとき、僕たちが本当に表現したかったものはこれだったのか、違うんじゃないのか、じゃあもう一旦設定から舞台から何からイチから作り直したほうがいいよね、と「監督」が言い出したときの、あの時のマジでバカみたいな気持ちを知って、高校のクラス演劇では我流の共作術を徹底したのだが、一段、また一段と、絶対にあとから変更させない場所に旗を立てながら作品を作っていくのは、共作のある醍醐味かもしれない。中心部の数人以外ほぼ全員がその当日に役割を知らされたわりに、クラス演劇はうまくいった。人生でいちばんビジネスライクな創作だったと思う。
 成功体験に拘るのは人間の摂理だが、よりうまくやりたいなら、それが拘りに過ぎないことも知っておくべきだろう。(渡来のビジネス書とかWIREDの記事みたいな文だ。)今回に関しては、迷っては同じところを行き来するパートナーにとって、私はただ邪魔な提案を何度も繰り返していただけだった。
 それで気づいたら12月もすでに中旬だった。『ワインズバーグ、オハイオ』という本を読んだ。数年間涙腺が垢で詰まってるので泣かなかったが、最後の頁をめくりながら、塩っぽい「たどん」のような塊が胸の中を降りていった。小説はまだ一文字も書いてない。

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