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12月のまとめ

『光の中で』という自作を、そろそろ消化しきったような気がする。新しい小説を書き始めている。インターネットに本名を載せるのはどうかと思って、アカウントを作ったときには名前をごまかした。それにともなって、作品のなかの自分の名前も書き換えた。(不覚にも、書き換えることはこの作品のテーマの1つだ。)すると思った以上に軽薄な印象を与えるようになって、早くも後悔した。『光の中で』は私小説だと自分は主張してみたい。小説を書く自分について書いた小説だ。だから本名であることもまた、大事な要素だった。
 それは小説の内部では消化され得ない要素であって、この現代の創作理論においてはまず第1章で戒められるような行為だった。小説を書くことと小説家であることとは異なるわけだが、『小説家になろう』という名前を持つインターネットサービスが皮肉にもその違いを分かりやすく教えてくれた。小説家、つまり小説を職業として小説で飯を食う人は、究極的には書きたくもないものを書く羽目になる。
 まああれはあくまでも究極であって我々はそうはならないのだろうが、しかし何かを職業にすればそれを通して社会と繋がるのであって、人と人の関わりを重んじれば自我を貫き通すわけにはいかない。創作はいくら孤独な営みのような顔をしていても、それを人に見せようと思っている限り到底孤独とは言えないものだろう。
 きっとその解決法の一つが他人を傷つける芸術なのだろう。マイノリティによりそうことよりも、それ以外につばを吐くために作られたもの、それをわかっていながら見ないふりをしている鑑賞者たち、もし許されるとすれば、作者が愛することのできる数少ない人のために書かれたのならば。つまり結局の所、かれは孤独ではなかったということなのだが。
 12月のみならずこれまでの人生をまとめることになったのだが、つまりそういう創作にはそろそろ見切りをつけようと思っている。そろそろ親戚の家族構成も変わろうとしている。人間は単純な生き物だ。博多の電車は暖房がよく効いていた。

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