『錯感』
錯感とは僕の物語に出て来る架空の感覚です。
不適刺激に対してその五感が本来持つ感覚とは違う感覚が生じることを言います。
例・・・ 雪に触れると肌が甘く感じる
フケが味蕾に化けたみたいに風を受けるたびに髪の毛が辛さを味わう
握手をすると手に耳の穴が開いたみたいに相手の声が圧力として聞こえてくる
” 彼女と手を握るとまるで光のスープみたいにまぶしい味が手のひらに感じられる。それがあまりにもおいしくてぼくは手のひらが舌になったみたいに震えた”
”まるで、透明な針みたいな小雨がかなたの肌に刺さるたび跳ねるような音色が感じられた。かなたはまるで、自分の全身がピアノにでもなった気分だった。雨粒に頬や腕を押されるたびに、かなたは澄んだ音色を肉体で聞いた。腕を振ったりジャンプしたりしてかなたは小雨と遊んだ。かなたの肌が雨を浴びるたびにきれいな音色が肌を貫き骨まで届く。”