『傷声』というアイデアを考えました。これは、声が口から出た瞬間に見えない力に作用されるという現象です。
例えば以下のようになります。
まるで、水の中でしゃべっているみたいに声がぐちゃぐちゃに崩れていく
声が切り刻まれたみたいに断続的に聞こえてくる
声がプレスされたみたいに薄く弱弱しい
声が砂糖漬けにされたみたいに甘くべとつく
声が雷に打たれたみたいに焦げ付いている 匂う
口から出る瞬間に何者かに傷つけられたり殺されたりする声 または、燃やされたり濡らされたり何かしらの自然的または暴力的または恋愛的作用に晒される声
具体的に文章に書くと以下のようになります。
” 「ぼ/の/んご/とってよ」
僕の言葉は僕の口を出た瞬間見えない刀で三回も斬りつけられたみたいに途切れ途切れになった。”
「ぎみのごどがぎらいだ」
彼の声は見えない泥で汚されたみたいに濁点だらけになった。
「おはよぅ」
僕のあいさつは水にでも濡れたみたいに萎んでいった。