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受肉

受肉。それは、空間や大地、光など 無・死に属する存在がまるで有・生のように現象することだ。

例えば、風が泣いて涙を降らせるとか 蹴られた腹のように地面が波打つとか 空が骨折して骨が飛び出すとかだ。

具体的な描写は以下になる。

”冥府の吐息みたいな風が泣きながら僕たちの頭上を通り過ぎ丘を涙の雨で濡らした。びしょ濡れになった僕と彼女を陽の光が温める。濡れて重たくなった彼女の白髪を陽の光が梳かすようで、雫の輝きを帯びた彼女の微笑は光そのものだった。”


ちょっと、口笛を吹いたぐらいのことで空間は唇型のできもので腫れる。ちょっと、転んだぐらいで地面は青血で真っ青になる。こんなのまるで、僕たちが世界にとってのアレル原か害虫みたいじゃないか。
 それでも、繊細な肌のような青空は美しかった。時折、強い風が吹くと青空はハサミで切られた皮膚みたいにペラリと剝がれて血を流す。そんな血の滝が枯れたころに現れた骨の白い美しさよ、衝撃よ。やがて、空の青色が瘡蓋のようにその傷を覆い血を固め骨を癒すだろう。”

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