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喉を塞ぐ「ね」

僕は声やセリフ・会話をファンタジー化することを目指しています。
 今まで次の二つのアイデアを考えました。
 一つは、言葉から速度を奪うというアイデア。これによって「愛している」という挨拶が届くころにはすでにその相手は死んでいるというような悲劇などが考えられます。言葉が届くまでのラグに主人公たちの情緒はかき乱されるのです。

 二つ目は、言葉を特定の場所に封じるというアイデアです。例えば、空気を噛むとそこに赤い歯型ができます。その歯型が破れて血と一緒に自分の声が聞こえてきます。「おはよう」と。

 三つめは、声や言葉・文字や音韻が物理的に身体に作用するというアイデアです。
 例えば「こんにちわ」という相手が挨拶してくれました。最後の一音「わ」が登場人物の耳に宿ります。その「わ」という音はまるで耳あてのように風を防ぐのです。
 「死ねよ」という心無い言葉の「ね」という音がのどに詰まって水を飲んだり食べ物を食べるたびに喉に「ね」という声音が聞こえてきて水も食べ物も全部吐き出されてしまいます。医者が細長い剣をその登場人物の喉に刺し入れました。すると剣の切っ先は固い鉄にでもあたったみたいにひん曲がってしまいました。「ね」という音が物理的な壁となって登場人物の喉を塞いだのです。

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