セリフ
僕はセリフについてファンタジー的に改ざんするにはどう工夫したり以下を考えてきました。前作『メキキラピカ』では生き物は肺に石鹼でも入っているみたいに喋るたびにシャボン玉を吐き出していました。そのシャボン玉は声から速度を奪い伝えたい言葉はしばらくシャボン玉に囚われて宙を漂った後ようやく相手に届くというアイデアでした。
今回の作品『首のない花』でも、声が速度を奪われるというアイデアを採用しています。今回は、シャボン玉ではなく口の動きに注目することにしました。
人が喋るとき、キスするように口をすぼめたり噛みつくように口を閉じたり吐き出すように口を開けたりします。このような仕草が空間に作用し傷や痣などを生じさせます。その傷や痣などから遅れて声が響くという風にします。つまり、声が、言葉が場所に閉じ込められるのです。