連日の更新が叶いました。
『彼方へと送る一筋の光』15です。
今回は本作の後半の鍵となる箇所です。
本作は二冊の禁書はいかに生み出されたのか。
オフェリアを救い出したレーゲンスベルグの武門、ザクセングルスはいかしてなったのか。
それを辿っていく物語です。
『彼方から届く一筋の光』で謎として残された部分を解説する作品である以上、ある意味前作がネタバレになります。
ブレイリーとロスマリンがどういう結末に辿り着くかは、まあ前作が明示しておりまして、もう読者の皆さんが薄々予測しておられることと思います。
それがこの物語の本筋です。
であると同時に、本作はもう一つ大きなテーマがあります。
というか、実はこの作品は本サイト掲載時に7年もの間休載する憂き目に遭ったのですが、復帰時に後半部分にそのテーマを背負うことになりました。
カイルワーンの喪失に、遺された者たちがどう決着をつけるか。
それが後半部分のもう一つのテーマとなります。
『それでも朝日は昇る』本編は、この喪失の部分で終わっています。
そしてその後遺された者たちがどんな思いを抱え、どう生きたのかを記していません。
本編を書いた当初は、それが必要なものであるとは思っていませんでした。
しかし本編を脱稿してからずいぶんと時間がたって、私自身が年齢を重ねて、ゆっくりと実感したことがあります。
大切な人を喪ってもなお、人は生きていかなければならない。
それはそう。
けれども大切な人を喪ってなお生きていく、ということはどういうことなのか。
それは若かった頃の自分が思っていたものとは、少し違うのではないか、と。
『彼方へと送る一筋の光』は、カイルがいなくなってから9年の歳月が過ぎ、
カティスやブレイリーたちは40代になっています。
それだけの時間が彼らにもたらしたものを、これから先の展開で汲んでいただければと思います。
そしてもう一つ、これから先の展開で追求していくことになるものが今回の箇所で明らかになってきました。
本作、ロスマリンと共にブレイリーの視点に立ってあれこれ書いているんですけど。
実は大事なことにまだ触れていないんです。
ごく単純。
ブレイリーが結局のところどういう人なのかってことに、本編も本作もまだ全然触れていない。
実を言うと、それは本作では完全には記せません。
なぜならばそれは、ブレイリー本人の視点では書きようがないからです。
ですので、この転載を終了した後にさらにもう一篇、中編を執筆する予定になっています。
それは『それでも朝日は昇る』『彼方へと送る一筋の光』の時間軸を、セプタードの視点から見直すものになります。
そこからでないと見えてこない、記しようがないものではあります。
しかしそこに到る前に、ブレイリーの視点から彼自身のことについて追求していくことになります。
彼がなぜああもロスマリンのことを拒み続けたのか。
カティスやセプタードと何があったのか。
そこにもうちょっと近寄っていくことになります。
さて次回はいよいよマリコーン。
ロスマリン救出作戦が開始されますが、ちょっと皆さんの予想しない方向に話が転がります。
本サイト掲載時、読者の皆さんがある意味大笑いした展開が次回です。
楽しみにしてくだされば幸いです。