• 異世界ファンタジー

『彼方から届く一筋の光』10回目更新しました(ネタバレあり)

『彼方から届く一筋の光』の第11回目の更新、15を転載しました。
物語はいよいよクライマックスです。
ここから先は、本サイトに当時書いた文章を加筆修正して上げたいと思います。

本作は『オフェリアの救済』というテーマで進めてきたのですが、この救済とは結局何だったのか。
それは『オフェリアの人生やり直し』でした。
以前から書いているように、オフェリアのそのままの人生に、私は納得できる着地点を見いだすことが、どうしてもできませんでした。
どこにどう転がっても、彼女の人生は行き詰まってしまう。
悩んだ結果、ふと、だったら別人になってしまえばいい。
今までの人生を全て破棄して、新しい別の人生を歩ませればいい。
時の鏡を使えば、それができるじゃないか。
禁書を使えば、オフェリアに歴史の真実を伝えることができるじゃないか。
そう思ったのが、今回の物語を構築した発端でした。
(ちなみに赤の禁書は、本編を書いていた時点でもう存在を想定されていました。実は本編内に、これを作るための伏線が張ってあります)
それで、オフェリアが人生をやり直すためには、三つのことが必要だと私は考えました。
1つが「オフェリアが王女という軛から逃れること」すなわち「他人になること」
1つが「オフェリア自身が自分の人生を変えたいと願い努力すること」
そして最後が「アイラとカイルへの思いを清算すること」でした。
その全部が、今回の更新箇所で終わりました。
最後の一つ、どうしてオフェリアがアイラとカイルへの思いを清算しなければならなかったのか。これについては、今回の更新箇所から読み取っていただければと思います。
オフェリアは自分自身に、「お姉ちゃん」ではなく、「オフェリア本人」としての価値や意義を見いださなければならない。
オフェリアは自分が主役の、自分のための人生をこれから構築しなければならない。

でも、それを叶えさせたのは、言うまでもなくレインでした。
今回の更新箇所、レインが最後にした告白、あれが浮かんだ時、この話を書こうと決断しました。
そう、レインがあれをオフェリアに言える男だったから、私はグラウスではなくレインにオフェリアをやろう、そう思ったのです。

レインという男は、傑物ではありません。作者の私がこう言うのもひどいですが、本作に登場する主要人物で、一番平凡な男だと思ってます。
カイルワーンのように天才でもなく、カティスのようにカリスマがあるわけでもない。
多分グラウスの方が、大物だろうと思います。何だかんだで奴はガルテンツァウバー史に名を残すのでしょうし。
でも、本作で最もオフェリアを理解し、最もオフェリアに対して誠実だった男でした。
そして「愛している」と感情に対し、最も誠実な行動を返せる男でした。
結局のところ、オフェリアを救えるものは、私がオフェリアの着地点として納得できることは、レインのような男に出会うこと、ただそれだけだったのでしょう。

結局全ては冒頭の一言、仮面の男がグラウスに対して言い放った一言が全てなんです。
グラウスが好きな方には大変申し訳ないんですが、この物語を一言で要約すると、結局あれに行き着くんだろうなと思います。

勿論レインは傑物ではないので、これから先が大変です。
どう大変で、それでこれから二人がどうするのか、というお話を次回。
まだ種明かしをしていない謎も2、3ありますし、何より最大の謎がまだ解決していないですし。
次回が本作、最終更新となります。
来週またお目にかかります。

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