最近、いろいろな小説を読んでいて思うこと。
それは、するすると読んでいける作品というのは多くの場合、場面場面におけるクエストが常に明確である、ということです。
言い換えると、今の主人公の課題とは何か。
それを解決するために、どう行動しているか。
これが明確だと、物語に入り込める。
異世界転生がテンプレとして用いられるのも、まず転生した時点で「この世界でどう生き抜けばいいのか」というクエストが自動的に発生するので、物語が作りやすいからということが言えると思います。
なので転生しない場合は、冒頭でこちらが何らかの問題を設定し、主人公にクエストを与えなければならない。
これが冒頭から友人同士の他愛ない会話がずっと続いたりすると、物語がどこへ向かっているかがわからなくなり、入り込みにくくなるのではないかと思っています。
(その会話自体が面白い場合は別ですが)
いわゆる日常系と言われるようなマンガでも、ちょっとしたクエストは常に発生しています。
のんのんびよりだと、星を見に行って帰る途中にこまちゃんの懐中電灯が消えてしまった!さあどうする?みたいな。
宮城谷昌光『太公望』では、主人公が冒頭で「殷を倒します」と宣言しています。
この作品の大クエストが何なのか、この時点で明確になっています。
大目標が示されている時点で、読者は安心して作品世界に入り込めるようになっています。
「殷を倒す」という大クエストのために達成しなければいけない少クエストがたくさんあって、それでこの物語が成り立っています。
自分でもこの点が常に達成できているとは限らないので、今後はこのことを常に意識していこうと思います。