カテリーナ・ヴィル・ユベル――三人の過去と因縁
カテリーナの若き日(約二十年前)
当時15~16歳だったカテリーナは、軍の情報部に所属する優秀な分析官として活躍。若くして頭脳明晰かつ行動力も兼ね備えていたため、上官からは大きな期待が寄せられていた。その任務の過程で「銀翼騎士団」の右翼に所属していたユベル・グロンダイルやヴィルと出会い、協力関係を築くことになる。
ユベルとの出会いと協力関係
カテリーナが情報部員として得た国政や魔獣問題の情報を、ユベルが求めていた。
ユベルは当時から「国を守るための魔獣対策」を最優先に考え、上層部とたびたび衝突を起こしていたらしい。カテリーナ自身も国の安全や将来を深く憂えており、ユベルの提案に賛同した結果、彼を裏から支援する形で手を貸していた。情報分析の才能を駆使し、ユベルが前線で立ち回るための作戦資料を作るなど、陰の立役者として協力。
ユベルの“泥を被る”性分
ユベルは常に「自分が泥を被ることで仲間を護る」というスタンスを貫いていた。上層部を批判するときも、自分が“矢面”に立って責任を引き受ける。それによって味方に被害が及ばないようにするが、その分、周囲からは彼が「ただの厄介者」に見える場合も多かった。カテリーナやヴィルにとっては、「そこまで無茶をしなくてもいいのに」「自分たちに相談してくれればいいのに」ともどかしく思う反面、「困ったやつだけど、放っておけない」と感じさせる大きな魅力を持った男でもあった。
西部戦線での独断行動と左遷
国境沿いで魔獣や敵対勢力との激しい戦が起こっていた時期、ユベルは自らの信念――「民衆のために最善を尽くす」に基づき、上官の命令から逸脱する行動を取ってしまうるこの騎士団の掟に反する行動が問題視され、ユベルは左遷の憂き目にあった。当時のカテリーナやヴィルとしては、彼を止められなかったこと、自分たちを巻き込ませなかった彼の行為に苦悩と後悔が入り混じっていた。
メイレア王女との出会いとマウザーグレイル探索
左遷後、ユベルは以前どこかで出会ったメイレア王女(ミツルの母)に乞われる形で、国に伝わる“マウザーグレイル”の探索に向かう。「もし、二人に相談すれば、国の上層部から目を付けられ、彼らに害が及ぶかもしれない」と考えたユベルは、やはり事前に何も伝えず独断で出発。その結果、周囲からは「メイレアを誘拐したのではないか」とみなされ、国からの追及を受ける立場になってしまった。残されたカテリーナとヴィルに事情を説明する術もなく、二人は彼の真意を知ることはなかった。
“誘拐犯”とされたユベルへの後悔
当然、カテリーナとヴィルは「なぜ相談してくれなかったのか」「あの時止めればよかったのでは」と自責の念に苛まれる。同時に、「ユベルなら必ず何か考えがあったはずだ」と信じたい気持ちもあり、複雑な感情を抱えたまま時が過ぎる。国からは“罪人”扱いされ、王女(メイレア)と共に消息を絶ったユベルを、二人は「もう会えないかもしれない」という諦念と、「どこかで無事に生きていてほしい」という願いの間で揺れ続けている。
まとめ・物語へのつながり
彼らの絆と苦い思い出
ユベル・カテリーナ・ヴィルの三人は、若き日に同じ理想を共有しながら前線で戦った“仲間”だった。しかしユベルの性格上、「自分一人が汚名を被ってでも周囲を護ろうとする」行動を取り続けたため、最終的に二人の前から姿を消す。二人にとっては憎からず想いながらも、納得できない気持ちが残る存在となっており、今でも複雑な敬意と愛着を抱いている。
こういう設計になっていることは、第四章でも読み取れると思います。