https://kakuyomu.jp/works/16816452221210723112/episodes/16816700428947997485そんなわけで第十五話です。
■レイアさんは随分と思い切ったことをしましたが、彼女自身はずっとこれをやってみたかったようです。
あまり長いと洗うのも乾かすのも大変ですから、分からないでもないです。
■予想はついていたと思いますが、レイアさんの第一目的地はあの地方でした。
帝国はこの件について神経を尖らせていましたから、それを自分の目と耳で確かめてやろうと思ったのです。
ワーズ評議員は、なぜ彼女がそんなところに行きたがるのか不思議に思っていましたが、何も訊ねませんでした。
レイアもそれを話すのは皇帝を裏切ることになるので、何も説明していません。
ワーズは年の功で、その辺の事情は察していますから、あえて訊かないのです。
まぁ、この件は偶然にもワーズの方も探っていたことなので、一石二鳥だったという事情もあります。
現地の人たちは「この件は他言しないように」と軍から言われているのですが、彼らは何も悪いことをしていないので、訊かれれば簡単に教えてしまいます。
ワーズは主に取引のある白城市の大商人を通してこの件を探ろうとしていたのですが、王国商人はからは何も得られませんでした。
実を言うと、南カシルの貿易商はこの商品を帝国から独占して輸入しており、この点では王国商人と対立していたのです。
このあたりの詳しい事情は次の章で出てきますので、これ以上の説明はありません。
■そして次の行先に真の目的があるらしいことが分かります。
レイアのやっていることは明らかなスパイ行為で、それに協力しているワーズ評議員は下手をしたら裏切り者として処刑される恐れがあります(レイアの方は外交関係上無事でしょうが)。
それが分かっていて、ワーズは何も言わずに最大限の協力をしています。それは彼の贖罪であり、彼にとっては救いとなっています。
レイアの方も、それを承知の上で父親を利用しています。自分は地獄に堕ちると自覚しながら、皇帝のために尽くそうとする彼女は、文字通りの確信犯です。
何というか……哀しい父娘の関係ですね。
■さて、次回は白城市に舞台を移します。そこに何があるのでしょうか? どうかお楽しみに!