https://kakuyomu.jp/works/16816452221210723112/episodes/16816700428792782129そんなわけで第十三話です。
■まずは黒城市到着です。
ちなみに前回泊まったクリル村から黒城市までは三百キロ余りあります。
ここまで来ると、ちゃんとした街道が整備されているのですが、ユニとオオカミたちは基本的に街道を使いません。
街道沿いに農地や野原を走ることになります。
街道はほとんど舗装(石畳)されていませんが、しっかり突き固められているので、長時間走るとオオカミたちが疲労し、脚を痛めるのです。
それに街道を通る人間や馬車などが、走ってくるオオカミたちと鉢合わせになると、驚かせたり馬が暴走して人身事故につながりかねません。
それを防ぐために斥候を先行させ、通行者を発見するたびに街道を降りたり戻ったりするのでは、かえって時間を食ってしまいます。
■黒蛇帝エギルは、就任から一年以上経っており、だいぶ様になっています。
彼は先代のような豪快な性格の武闘派ではありませんが、沈着冷静で頭の切れる知将といった感じです。
最初は戸惑っていた部下たちも、今ではすっかりと馴れ、次第に信頼を寄せるようになっています。
なお、彼はなかなかに美しい顔立ちをしているので、黒城市民の女性たちに人気が出ています。
■宿改めで不審者が見つかった場合、すぐに城に連絡が入り、二頭のオオカミが兵士とともに出動します。
ユニが側にいないので、オオカミたちは人間の言葉が理解できませんが、簡単なハンドサインが決められています。
それに実際には、賢い彼らは人間の表情や口調、仕草を見るだけで、大体何を言っているのか理解してしまいます。
もし、本当にレイアが見つかったら、もちろんユニと大佐も叩き起こされるでしょうが、それまでは休ませよう――それが黒蛇帝とオオカミたちの意向です。
■さて、有力な目撃情報が入り、次回ユニと大佐が急行します。
こういう〝追いかけっこ〟を主題に据えた娯楽時代小説は昔からたくさんあって、そういうのを知っている人には、これはお馴染みの展開です。
さて、どうなることか……どうかお楽しみに!