https://kakuyomu.jp/works/16816452221210723112/episodes/16816700426769977911そんなわけで第十九話です。
ケルトニアは強大な海軍を持ち、西海沿岸の各地で植民地や属国を支配していました。
そうした支配地には、当然駐留軍が置かれます。
彼らは治安警備、徴税や外交、情報収集、入港する海軍船への補給、修理の手配など、さまざまな任務をこなしています。
軍隊として彼らは〝陸戦隊〟と呼ばれ、駐屯地の規模にもよりますが、一個騎馬大隊(三個中隊、約百人)程度でです。
今回、ドレイクの献金でテバイ村に派遣されたのは、そのうちの一個中隊です。
彼らがどうなったかは、本文を読んでいただくとして、結末を読んだ方は「セレキアに戻ったらタダじゃ済まないのでは?」と思うのではないでしょうか。
騎馬隊の隊長は結構食えない男で、保身のためにいろいろと策略を考えています。
部下たちに宣言したように、もっともらしい大義名分をぶち上げ、原隊へ出頭する前に市中にその噂を流す気でいます。
面子を重んずる軍としては、私掠免許を持つとはいえ海賊に肩入れしたことを知られたくありません。
ドワーフ市がその海賊に襲われ、商人が金と商品を奪われたという話は(彼らは海賊が敗れるとは夢にも思っていない)、すぐにセレキアにも伝わるはずです。
そうなると、戻ってきた騎馬隊にあまり重い処分を下せなくなります。
その一方で、隊長はある程度の損失補填をする腹積もりでいました。
彼はその地位を利用して、セレキアでさまざまな甘い汁を吸っていましたから、それが可能だったのです。