https://kakuyomu.jp/works/16816452221210723112/episodes/16816700426090054831そんなわけで第九話です。
セレキアからテバイ村へ向かう道中は、馬車が同行しているためのんびりしたものでした。
普段からライガの快速に慣れているユニとしては、まだるっこしいことこの上ない速度です。
そのため思いついたのが、海岸に接近しているだろう海賊たちの偵察です。
今回バンシー(哭き女)のサリーナが姿を見せましたが、彼女はちょっとしたズルをしています。
バンシーが見る者によって姿が違って見えるということは、すでに説明されていますが、彼女自身の意志で自分の姿を変えて見せることもできます。
彼女はユニに「小さな子どもみたい」と言われたことに腹を立て、わざと自分を成熟した豊満な肢体の女性に見せています。
サリーナはユニに豊かな胸を見せつけて、相手の〝ちっぱい〟を鼻で嘲笑いました。
当然アシーズは、サリーナのいたずらが分かっていますから、「しょうがない奴だ」と苦笑しているのです。
普段はアシーズ(彼にはサリーナの姿が常時見えています)に対して、華奢な少女の姿に見えるようにしています。それがアシーズの〝好み〟だと思っているためです。
これは、アシーズに転生してバンシーになったらどんな姿になりたいかと訊ねた時、彼が「ごつい男の身体にはいい加減飽きたから、細い少女になってみたい」と答えたからです。
なかなか〝いじらしい〟ですね。