「北欧神がやって来た!」に登場する三人の神様のソース(元ネタ)です。
北欧神話は神話の世界が神話の中で崩壊する(神々もまたそれを予見している)珍しいタイプのお話です。
オーディンやトール、ロキが有名ですが生き残った神々については各所であまり触れられていませんので基本的なソースをご紹介します。
生き残りがオーディンの子「ヴィーザル」「ヴァーリ」、トールの子「モージ」と「マグニ」、アース神族の1人「ヘーニル」。
戦争以前に死亡し、生き返ったのがオーディンの後継者「バルドル」と弟の「ヘズ」といわれる
【ヴィーザル】(古ノルド語: Vidarr 英語: Vidar)
高身長と長髪ストレートのイメージで描かれた「ヴィーザルさん」は、父オーディン、母巨人族グリーズの子。
その名は「森」あるいは「広い場所」を意味し、アース神族から非常に頼りにされているがヴィージと呼ばれる森で半ば隠遁生活を送っている。
「無口のアース」とも言われ、基本的に無口でロキが宴に乱入してのちに神々と口論を始める際も、黙々と酒を注いでいたヴィーザルだけは詰められなかったという。
なんかせかぼくでは知恵者みたいに描かれているけど隠遁者のイメージからであり、実際はラグナロクでフェンリルを倒した活躍っぷり。
トールと同じくらい強くて頼りにされているのに、あまり有名じゃないのは森に引きこもっていたせいだろう。
母に与えられた強い靴を持っている。これは人間の靴の爪先と踵の部分の皮をつなぎ合わせて作った物で鉄のように固く、そのおかげでフェンリルの顎を踏みつけることができたという。
もっと「無口」な部分と「靴」の話を出したかったけれど意外とテンション上がってたようでそこまで表現されませんでした。靴については日本の勿体ない精神を見て自分の靴のなりたちによって共感する、みたいなネタはありました(入れる間はななかった)。
【バルドル】(古ノルド語: Baldr、Baldur、英語: Balder)
オーディンと正妻フリッグの子。光の神。
『スノッリのエッダ』では最も賢明で、光り輝く美貌と白いまつ毛を持ち、雄弁で優しいとされる。
やや優柔不断な面もあったが彼の裁きは不変であるといわれる。
ロキの奸計により異母弟ヘズにより殺され、それが口火となってラグナロクが始まるエピソードは本作でも登場済み。
二人ともラグナロク後に復活し、和解して共に暮らすとされている。
なおヘズが投げつけてしまったヤドリギはミスティルテインと呼ばれ、ファンタジー系のゲームでは槍や弓として武器になりがち。
でも武器じゃなくてヤドリギ。枝。
優柔不断ネタを書こうとして忘れていた自分がいます。
【ヘズ】
バルドルの盲目の弟。
ロキに騙され、兄弟で善神のバルドルを、その唯一の弱点のヤドリギ(ミスティルテイン)で貫く。
後に、報復のために設けられた弟のヴァーリに殺された。ロキにそそのかされたことは周知の事実であろうにあまりにもなその後である。
性格や容姿は描かれていないが、
目が見えない故に遊戯の輪からはずれ、賑やかに祝う神々の傍らで彼が何を想っていたのか鑑みるのは容易であると思う。
誰にでも愛され、オーディンの正当な後継者である兄と盲目の弟。
北欧神話は現代のファンタジーの基盤となる話も多い一方、非常にシビアな人間(?)関係が展開されるのも特徴の一つと思う。
なお、「暗黒なる冬の神」と表現されることもあり(希臘及北欧神話 訳者 杉谷虎蔵)、兄バルドルが栄光の光であるなら弟ヘズは影のような存在であったことも想像に易い。
盲目の戦神でもあり、ヤドリギで一撃必中というのも納得できないでもない。
ラグナロクの後は、バルドルと共に復活して和解し、新たな世界を治める若い神の一人となる。
『詩語法』ではヘズを表すケニング(比喩)として、「盲目のアース」、「宿り木を射る者」、「ヴァーリの敵」などを紹介している
「遊戯に加わらないのかい?」
「僕は目が見えないから」
「大丈夫だよ。ほら、投げてごらん」
それまでも散々シャレにならないことをやらかしてきたロキを容易に信じて投げるものまで受け取ってしまうあたり、非常にお人よしではないかと感じ、せかぼくでもそういうキャラになりました。
一撃必中の戦神というと実はすごく強い神様だったのではというエピソードを想像するのも楽し気です。