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流されるボート

 友人E、H、Tと海のボート釣りに行ったときのことです。
 午前中は穏やかな天気でした。私たちは二艘の手漕ぎボートを借りて、シロギス釣りを楽しんでいました。
 午後になり、だんだんと風が強くなってきました。

 私は爆釣していました。仕掛けを海に投げ入れたら、すぐにシロギスが釣れる。入れ食い状態になっていたのです。
 同乗のTは釣りをしない人で、海を眺めていました。
 私は「おーい、すごく釣れているぞー」とEとHに声をかけました。

 ふたりはボートの錨を上げ、私たちの方へ来ようとしました。
 しかし、彼らのボートはどんどん遠くへ流されて、見えなくなってしまったのです。
 いつの間にか、風がヤバいほど強く吹いていました。

 まずい、このままだと彼らも私たちも遭難する……。
 私たちも錨を上げ、懸命に漕いで、なんとか砂浜に戻りました。
 私とTは、EとHが戻るのを待ちました。

 一時間が経ち、二時間が過ぎました。
 彼らは戻ってきません。
 私たちは警察か海上保安庁に連絡すべきかと考え始めました。

 そのときようやく、疲れ果てたEとHが砂浜を歩いてきました。
 彼らは激しく流され、ずいぶんと離れた港へ決死の突入をしたそうです。

「ボートがもう少しでテトラポットに激突するところだった。命懸けだったよ」とHは言いました。
「楽しく釣りをしていたのに、おまえが声をかけるから」とE。
「すまん。ふたりの命が助かってよかった……」と私。

 その後、レンタルボート屋さんからトラックを借り、遠い港からボートを回収しました。

 海のボート釣りはこの上なく自由で楽しい釣りですが、危険です。
 強風や波の高い日にやると、命を失う可能性が大です。
 この日以降、私はよく天気予報を調べてから、ボートに乗るようになりました。

2件のコメント

  • ふきんしんですが詳細書いてエッセイにしましょう^p^
  • あるまん様、コメントどうもありがとうございます。
    私の最近の近況ノートは、まったく近況ではないことが多いのです。旧況ノートです。
    エッセイは気が向いたら書きますね。
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