「どくしょのあき」が流行っているそうなので乗りました。
でもフランスの本でタイトルがまったく出てこなかったので(笑)今読んでいる本を1冊だけご紹介します。
「プチ・ニコラ」Le Petit Nicolas
小学生の男の子ニコラが学校や家で起こったことを一人称で語る掌編集。友達との遊びや喧嘩、学校の先生のことや、お父さん、お母さんとの生活。なんでもない日常の些細なエピソードが、子どもの視点で生き生きと書かれています。
作者はルネ・ゴシニーという、フランスではとっても有名な人なのですが、この人の文章は、まるで本人が子どもに戻ってしまったんじゃないかと思うほど、等身大の感性で書いてあります。自身の小学校の記憶をもとにしているだけに、ひと昔前のフランスの子どもの生活が垣間見られるのも楽しいです(初版1959年)
家と学校と友達、それだけで子どもの世界はこんなにも膨らむことができたんだなと、その豊かな筆致に感じ入るばかりです。
児童書なので小学生ぐらいでも読めると思います。でも子ども向け、という書き方とはひと味違って、ちょっとした言葉遣いにフランスらしいウィットがあって、大人が読んでも充分に面白いです。親子で読むのもお勧めです。
あと、今年亡くなったジャン=ジャック・サンペの挿絵がまた最高に可愛らしいので、それも一緒に味わってください。さらさらっと描いたような絵なのに、すごく表情豊かなのです。
どこか懐かしくて普遍的な世界に浸れます。気持ちがざらついた時に癒されますよ。日本語訳も出ているようなので、ぜひ読んでみてください。