ペリュトン
最古の原典が『幻獣辞典』だけなので限りなく著者ホルヘ・ルイス=ボルヘスが「でっち上げた」可能性が異常にある怪物。「鳥だか幽霊だか」と説明される。
あー、京極夏彦先生によれば、水木しげる『悪魔くんの悪魔なんでも入門』は、原稿は大丈夫なのだが書籍では大変なことになってをる。でソフトカヴァーなだけの改訂版『悪魔くん魔界大百科』76頁で、‘初版’発行時からまともな紹介をされるペリュトンについて、大先生が汎世界的に「霊魂は鳥類で表される」の次にわざとなのか「以津真天」との関連を示唆してゐる。こっちは四つ足の翼鹿の、目が怖いよ―なだけだが、ググるとその具象/写実性ガン上げ(見せる表現)なナニの後ろに、抽象/記号的(アイコンとかアバター的な表現)な人の影がついた方が出る。
ボルヘスの晶文社刊1974年刊p166、2013年版(スズキコージ大先生のイラストが前の奴と追加されたのが収録)187頁 2015年刊河出書房文庫版(表紙はいいよね)268頁 晶文社クラシック版 にゃー によれば。
「ローマを滅ぼすもの」として『シビュラの書』(偽書でなくてガチの奴らしい)に出てくる
16世紀、ラビがかいた論文で引かれる、ギリシャの古典注解学者が書いたものの断片によれば
「翼の生えた鳥類の体をし、頭と足が鹿 影が人間」
「人間を殺すと影が本来の姿になる」
「アトランティスの生き物だった説と、行き倒れの幽霊説がある」
「ラヴェンナで出てきた。羽毛の色が緑だと思ったら淡い青でびっくり」
「群れをなしヘラクレスの柱(ジブラルタル海峡の辺)の上空遥か上まで飛行する」
「土を食べる」
「(小)スキピオが彼らに遭遇したが頑張った」
「地中海で船を襲ってクルーを虐殺し、血液の中でごろごろして飛び立つ」
とやらである。
エリュトライのシビュラがうけた「これの襲来でローマが滅びる」てふ託宣を収録した『シビュラの書』は、焚書により散逸の後、九巻に及ぶ断片の復旧作業は然るべき個所を発見できず、ときて16世紀、ラビ「ヤコブベンカイム(多分)」が引く本、ギリシャの古典注解学者が書いたものの断片にソレがどうたらがなく、あー。『シビュラの書』の復刻版そのものもどっか行ったらしい。なんか。
記述関係史
記述のある「シビュラの書」を保管したアレクサンドリア図書館、AD642年にウマル1世の命で灰になる。
後、燃えカスをかき集め復元作業をする文法学者の皆さん、「ローマの運命」に関する個所を発見できず。
16世紀 ギリシャの古典注解学者著による記述が不完全ながら引かれるフェズ(モロッコ)の律法学者が書いた論文が出る。
そのラビの本、ドレスデンの大学に保管されてたが、ナチスだか空襲で焼失。
テリー・ブレヴァートン『世界の神話伝説怪物百科』204頁によれば(但「Peryton」表記だが「ペリトン」)
「乾いた土を食べる」、「(プブリウス・コルネリウス)スキピオがどうの」の次に「頭、首、前足、角が牡鹿、羽毛と翼と下半身が鳥類で犬歯が発達し人肉を好む」といふ記述がある。キャロル・ローズ『世界の怪物・神獣事典』ハードカヴァー版p391によれば
通常のは羽毛の色が緑色なのだが、ラヴェンナで薄い青色のが出たと書く。
ブレンダ・ローゼン『妖怪バイブル』にゃー。
健部伸明と怪兵隊『幻想世界の住人たち』はにゃー。
「翼鹿」は紋章でよくあるので、ボルヘスが具体的に何から引いたかは解らないが、ネタ元がないではない筈(英語版のWIKIにかいてあった)。
「グーグル先生が検索を躊躇する」言訳。あー。
グアノ 消化器官を鳥類か鹿でなんか。で偶蹄目系のうんこか、総排出口から出るやつか。エステンメノスクス(「独特な」頭部を持つ単弓類って超絶大昔の哺乳類)は「冠を被ったワニ」といふ名の割に、腐葉土を喰ってゐた可能性が示唆されてゐる。それはシダ植物の蕨とかコゴミとかゼンマイとかの発酵したやつでいい筈。さういふの食べ動物設定だと反芻の消化器官が要らんくなる。飛翔するためには、異常に消化の良いもの喰ふのはマストの筈で、でも葉っぱ食べ鳥類さんがをるわけであるが、あー、「翼鹿が虐殺された人間の鮮血をなめとって飛翔」はいい感じだが、えー。「テングノムギメシ」は確かにいい感じであるが発生するための言訳が、あー。
無駄にちんちんがけつの中収納されてるとか。卵生とか。
これは実は飛べなくて翼は光合成器官で、とか。羽毛の色は薄いブルーとかアレだから。
a大人しく、bαを頂点とする群れを作り、cその辺でこましdすぐ大きくなりeなんでも食ひfなんかあったらとりあへず臥せる(Jダイヤモンドの家畜になれさうな動物の特徴)
可能性 有の筈。群れてるわけで、なんかあるわけなので。