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南米へ国でっちあげる案

 諸星大二郎『桃源記』の、桃源郷と山海経へリスペクトをささげる酒飲み詩人の五柳先生的に理想郷なんではなからうかな、桃花源と怪物の佃煮。風水的な元気の溜りと玄牝みたいなのができる言訳を考へる。コロナ禍がなければ、松本市のブックオフ(2022年には営業してたらしい)へ行って諸星大二郎作品(なんか知らんけど常備してないかレヴェルで売っとる。メジャーな『あもくん』、『栞と紙魚子』関係からレアものまで)を確認して、なんかを買ふのだが。ふう。あと、「この世界の片隅で」関係で、かの核攻撃の地獄を「当事者と伴走」てふ傲慢を避けかつ継承しなければならないN世の義務として書く表現のアレ。

 花房観音 『京都怪談』所収の『京都暮らし』での京都の描写。風水説は元気が都市へ満たされるやうにする技術と言ふのを無視し、四神相応の地としての京都のデザインが「何かを閉じ込める」効果を持ってゐる旨を示唆して、「著者」のだめんず遍歴のアレから多分うはなり打ちが来る、らしいのを書く。2019年刊行の本所収なので源九郎判官がこなみ@義理のお姉ちゃんのうはなり打ちが出る『鎌倉殿の13人』よりこっちのが早い。広辞苑によると「うはなり」は後妻、妾と怨霊を指してた。

 エクァトール 諸々が逆転する地点としての赤道。ネタにできれば。エクアドルが南米西部にある。

 ブラジルで、逃げた奴隷の皆さんが他カリブ海諸国と同じくコミュニティを作ってゐたが、それは他ではシマロンとかマルーンとか言ふのに対し、アンゴラ関係のものと思はれる語キロンボとかモカンボで称された。アフリカのお国の「KiMbundu kilombo」は軍事結社とか野郎のイニシエーションキャンプとかの意。そのコミュニティはお約束でポコポコ出来てはブラジル軍とかに潰されるといふ地獄であったが、アラゴアス州マセイオの辺にあったやつは、1597年、ペルナンブーコ州のプランテーションから逃げた四百人くらゐがどっかで作ってたのが「Palmares」だけど檀原先生は「パウマーレス」表記、へお引越しして、一時期は二万人を擁するでっかいものとなった後、英雄を輩出して1690年代に崩壊するといふ結構息の長いものであった。そこ含めてさう言ふのは楽園として語られ、詳細は分からない。

自称カトリックと称するパウマーレスは、1678年、ブラジル軍にボコられ、屈辱的な武装解除をやらされ毒を盛られて死ぬリーダーのガンガ・ズンバが三人の妻持っててといふ記録があるので、厳密にはここのは民衆キリスト教っぽいと。
その、インディオの人もゐたらしいここで、ピジーと呼ばれる、土人の信仰カボクロのアフリカンなものができた臭い。

 ズンビ・ドス・パルマーレスさん傳 1677年、ブラジル東部のアラゴアス州 パルマーレスで生まれ、奴隷商人の手にかかり、引き渡されたペルナンブーコ州の人格者な司祭により、フランシスコと命名されたり、ポルトガル語、ラテン語の読み書きやキリスト教を習ったりしたあと、15歳で田舎へ帰る。檀原照和『ヴードゥー大全』によればガンガ・ズンバの養子となり、このキロンボのリーダーを務め、24回ほど政府軍の攻撃をしのいだが、1694年、疲弊したモカンボから云千人ほどを連れて脱出、仲間の裏切り他で翌1695年11月20日、絶壁から同志20名とともに身を投げる。

 檀原説で、ガンガ・ズンバ、あるいはズンビに、「Nzumbi」てふ、「ヤハウェの訳語」から「お化け」「祖霊」とかに至る、ざっくりスピリチュアルななんぞを指す語でコンゴの他、アフリカ中央部~西部で似たやうな語があるありがたいものの可能性がある。檀原先生のこれは説得力あるでいい筈。そんなわけで、クロンボ的に蘇る死者或いは死体といふ物は存在しない。

 ジャマイカで、18世紀ころに、スペインによってできたマルーンの内、東部の山に拠点をもつ方ウィンドワードマルーンを占めてたナニーさんといふアシャンティ系の女性は、ハーブを使ひ、お化け的ななんぞを操るオービアウーマンで、英国軍をもその魔道を納得してゐるといふ。えーと。WIKIの記事 若干日本語になってない。あとローズマリ・エレン=グィリ―大先生によればオビアは呪医らしい。ミャルー。オービアあるいはオベアは、ざっくり波紋からスタンド能力に至る何ぞであるらしいのだが、ハーブを使ふとかプロテスタントと習合みたいなのをしてゐる以外に謎が多い。英国は、えーとガーナの辺へクロマンティといふ奴隷集積地を作ってアシャンティ ファントゥ、アカン系の勇猛な戦闘民族系ニガ―をあっちへやってゐたのだが、この皆さんの凶暴さとハイチで立ち上がる黒人にビビッて、ジャマイカ統治後はコンゴから奴隷を刈り取ってゐる。ジャマイカはこんな風に、謎のヴードゥー儀礼が入ってたりハイチのカイマン森でジャマイカンウンガンが革命ののろし上げる儀礼やってた傳説があったりラスタがあったり、いろいろ面白いんだけど。どこぞにふんぞり返って然るべき指示をする人だった割に弾丸を五十発くらゐ食らっても平気だったと言はれるナニーさんと違って、ガンガ・ズンバさんもズンビさんも多分アフロ魔道はやってない。

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