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高橋昌明『酒呑童子の誕生』
 文庫版が出てをるのか。テキストは新書の方。
 酒呑童子はドイツ人、シュタイン・ドッチと言ふ紅毛碧眼の異人がモデル説を皮切りに、疱瘡=朝鮮の病気説が出回ってゐたといふ嘆かはしい物を紹介し、さらにその朝鮮では支那起源と言ふことになってゐたといふエビデンスとして「江南戸口客星」 あるいは「西神」と言ふ漢字の呼称、前の資料では漢字の呼称が出るんだよ漢字の呼称、をあげ、あと「酒呑童子=ロシヤ人」説も上げる。あーぅー。

『鼻行類』での、シュトリヴィツキ―(いまだに何ハナアルキの研究家なのか覚える気がないソ連の生物学者。「冗談を言う人」の意のロシヤ語SHUTOとやらから)を何とか。斉天大聖よりも遠いか。

 酒呑童子の体色は、五行説的なアレの可能性がどうたらで、手足が白黒黄青である。頭と胴体は赤である。さらに、赤い体は赤い生き物疱瘡神との関連もある。
 赤毛が、キリスト教でカインの印とされると言ふのと謎のシンクロがある。

 その辺の本、南方熊楠の柳田國男宛書簡の辺で、どんど焼き或いは左義長は、つい二、三百年前までは唱門の人が、太鼓をどんどこ叩いて行ったので、左義長をどんど焼きとも言ふと書いてある(全集の方第八巻p8)。
 ド派手に音柱の人が入るとは思はなんだが、お正月関係の儀礼でお祭りと言ったら蛇柱と恋柱は体系化が容易の筈で仏教は文化の中に分子レヴェルで入ってた筈で達磨さんが火属性だから炎柱があの。しのぶさぁん。WIKIで中山太郎大先生の本が資料に―あってアレなのだが、声門師=水属性説をとる人で高橋昌明先生(『酒呑童子の誕生』新書の方137頁)がゐる。その唱門師は特殊被差別民で同和なんとか関係の資料に書いてあるやうな方。歩き巫女とか鉦叩き(さう言ふ放浪の坊さんがゐたの)を統括してるので忍者と言ひ張れるのに。

 御神楽はマナを体へ付ける儀礼としての呼称である鎮魂の儀礼であった。とか言ってるとその折口信夫説にはツッコミ入ってるんだどうせどうせ。
 サンカしぐさとしての一人神楽は、士農工商ヒエラルキーで商人カストに入る炭焼きよりも唱門師の方がしっくりくると思ひます。でも歴史考証の壁があって駄目だと思ひます。さらに彼らは鎌倉時代から特殊被差別民街道まっしぐらな陰陽師の一類なので、色々困るんです。安倍晴明様は官僚で、便利に扱はれてたのでまだいいの。

 修験道と陰陽道はあまり変らないらしい、と。酒呑童子は比叡山のアレで大江山へ行った鬼であるが、犬神人は、比叡山を開いた伝教大師最長上人が、支那で得た外道(水木しげる先生はぬこ型の外道を紹介してゐるが通常はトガリネズミ系)の使用法を心得る皆さんである。犬神人をやるのが唱門師ださうである。さう言ふわけで陰陽師も一応特殊被差別民なのだが。

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