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ひじりがひじって2

 ひじり、『霊知り』語源説は白川静以前に 服部宜『名言通』とやらでもあったらしい。ちっ。
 その辺の『民俗學事典』に衒ひなくさらっと「火治り」があるのだが、火は上代仮名遣で乙音で、ひじりのヒは「日」「霊」と同じ甲音。古語だよなぁ。
 しるは「知る」&「占る」で良いと思ふ。「治る(しる)」がその辺の辞書に載ってないよぅ。辛うじてJCヘボン『和英語林なんとか』にあったよぅ。このヘップバーン先生がカール・レフラー先生だったらいやだ。

『日本国語大辞典』では「ひじり」と訓読する文字で、叡、僧、僊、賢、貞、傑、仙、伽、眞、瞿を上げる。『てのひら怪談』で「うざね」を覚えて、これをめくると「うざねこく(漢字入れると「うざね吐く」)」が方言の例文で出てるのでちょっとうれしい。

『日本書紀』には
神武天皇がどうのの所でちゃんとしたロールモデル的な存在を指して「大人(ひじり)」、
雄略天皇二十二年の浦島太郎みたいな話らしい処で竜宮城の人が「仙衆(ヒジリ)」

 「聖」の字とひじりは「神意を窺うもの」なので共通と指摘する白川静大先生は別に、さう言ふのやってるからいいとして、大先生は『字訓』で柳田國男大先生の、『石神問答』(明治四十云年)で「漢字表記と、本来道教でいう眞人などを指す語であるヒジリが僧侶の語になってどうの」を引いてゐるのだ。さらにまうちょっとあと(大正3年)の『聖と言ふ部落』で、「漢語で言ふ日者」とか言ってゐるのである。南方熊楠大先生が『岩田村大字岡の田中神社について』で柳田大先生の「日者」を引いて、「史記にある語」と指摘してた。あー。日者は白川静説で「候占をするもの」。エスペラントに興味持ちまくりの柳田大先生が東アジア的な文化の分布を認め、東アジア的な信仰を指す語を仏教のそれに使ふ件へ苦言を呈する、とかやってるとかなり混乱する。

 別名で、廻国聖(六十六部)、遊行聖、馬聖(虚無僧)、十穀聖など。葬式からお墓関係の管理まで行ふ「三昧聖」と呼ばれるのがゐた。三昧は冥府かなんかの呼称の筈。聖は、よくハンターが帰依してどうの説はー、あー。

 ひじり。関東の時宗系は「かねうち」、関西の空也系が「かねたたき」。五来重~谷川健一説で、彼らの持つヒサゴ~鉦はマナ・アーティファクトで、マナを集める儀礼が叩くやつ。依り代招き代としてのなんぞは、折口信夫説。折口先生はエビデンスがなくコカインキメてなんかこいてるのでお弟子がよく訂正修正をしてゐ(ry

 ざっくりひじり伝
 おそらく原始宗教の人が、伝来した仏教へなんとなく帰依みたいなのをやり、とりあへず優婆塞とか沙弥とか菩薩とか禅師とか適当なことを言って独自の組織を持ち、とてもややこしいのだが、さう言ふ野生の優婆塞の他に、普通の私度僧(行基菩薩は朝鮮系の筈)もゐるらしい。でその菩薩の皆さんが、なんぞ「聖なるもの」にせせられて、日本全土へ橋を架け溝を掘り寺を建てる、マウントビルダー!!かのあぁ栄光の、秋津島を異常な速度で文明圏化したあの一族!!の後裔みたいなのをやり、後のアメリカでのSF大会で行はれたマスカレードがコスプレに、十月のハロウィンがコスプレ大会に、なるごとく、とりあへず南無阿弥陀仏を唱へその霊魂を入れる呪具としての鉢とかを叩くおっ様が出ることになり、日本へ豊かな文化資本を植え付ける序に、自身は腐る。

 来日して私度僧となったサルウィンからの僧が、回遊遊行先の土人から崇められ、とやった場合、なんか、戦隊もので「何とか左京」と言ふ刑事が出るのを喜ぶ『相棒』のスタッフが、これに関しては作品の冒涜とか言ひさう(出羽守とかは言はれない筈)。一桁世紀に、東南アジアから徳の高い仏教僧が来日する可能性はあるでいいらしい。タピオカの伝播は無理なわけか。

 ひじりは、修験系、念仏系、の他、巫祝陰陽系があるっぽい。

 中国地方の「小童(ヒジ)」と呼ばれる集落に「ハカセ」(陰陽師系)とかがゐる場合、ゐる場合に、もしかしたらそこの地名はヒジリの下略なんではなからうか。でハカセとかがヨリワラ使ってなんかやってたんではなからうか、といふ、柳田先生エビデンスってのご存じですかなアレをやってゐる『聖と言ふ部落』のこの辺を、南方熊楠大先生が『岩田村大字岡の某』でまんまコピペしてゐる。あーえー。真宗の異端で異安心の秘事なんとかと言ふ排他的な教団があって、ここからヒジと言ふ呼称が出ることはーと言ふのはある。

 Sapiens の派生語のSage ぱーせりせーじ、ろーずまりーたーいむ のセージはサルヴィア。
 サージュファムフランス語が産婆とか、この辺はいいか、巫女はんの呼称とかでサガエがある他、娼婦の関係の人の呼称でセージ関係のラテン語が。Sageの零落と、ヒジリのそれは、他の諸呪術師が辿るそれに準じる(南方熊楠『岩田村大字岡のなんとか』)。セージ、サージュがインテリジェンスの基礎にあるエロスとかの方へ行くわけ。

 奈良のどっかでは聖で尼僧を指したらしい。

 ひじりひしひし あー。ひしひし(ぴっちりとか)の漢字は緊々か犇々。あー

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