私は貴女に求められたい
貴女は、優等生とも少し違う
優しさも、倫理も知る人だけれども、良い子の一言で評されるには相応しくない
世の規範は貴女を創り出しはしない
貴女は世に望まれる人格を、自らの内に求めるのだ
人の感情や欲求は、時にうねりとなって吹き荒ぶ
吹き荒べば、周囲は気付く
あの人、何かあったのかしら、と
他者の風を、察知する
ところが、繊細な者は、絶えず他者の揺らぎを感受してしまうのだろう
その大小によらず、その起因によらず
抗えないままに吹かれ、煽られて、燃焼する
貴女は逃げない
せめてもの暖になろうとする
そして、他の誰かが燃やされないようにする
身に刻まれた忍耐
(灰とは散らないで……)
これは、貴女の美徳だ
私の愛するところだ
だから、私は、貴女の御簾となれたら良いと願う
隣にいられないのならば、後からで良い、灯油を分けられたらと願う
けれども、私はわがままだから
それを、貴女に求められたいと願ってしまう
これまで貴女へと告げられた数々の言祝ぎ
その最も新たな一言は、今この時は、私からのもの
この先、絶えず続く言祝ぎの、その一粒となれたとは、私の喜び
健やかに、幸いにあれかしよ
貴女へ
お誕生日おめでとう