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【詩】誕生日を祝って

私は貴女に求められたい

貴女は、優等生とも少し違う
優しさも、倫理も知る人だけれども、良い子の一言で評されるには相応しくない

世の規範は貴女を創り出しはしない
貴女は世に望まれる人格を、自らの内に求めるのだ



人の感情や欲求は、時にうねりとなって吹き荒ぶ
吹き荒べば、周囲は気付く
あの人、何かあったのかしら、と
他者の風を、察知する

ところが、繊細な者は、絶えず他者の揺らぎを感受してしまうのだろう
その大小によらず、その起因によらず
抗えないままに吹かれ、煽られて、燃焼する

貴女は逃げない
せめてもの暖になろうとする
そして、他の誰かが燃やされないようにする

身に刻まれた忍耐
(灰とは散らないで……)

これは、貴女の美徳だ
私の愛するところだ

だから、私は、貴女の御簾となれたら良いと願う
隣にいられないのならば、後からで良い、灯油を分けられたらと願う

けれども、私はわがままだから
それを、貴女に求められたいと願ってしまう



これまで貴女へと告げられた数々の言祝ぎ
その最も新たな一言は、今この時は、私からのもの

この先、絶えず続く言祝ぎの、その一粒となれたとは、私の喜び

健やかに、幸いにあれかしよ

貴女へ
お誕生日おめでとう

1件のコメント

  • 「私、自分からこんなこと言うの、なんか申し訳ないんだけど、誕生日プレゼントは文字で欲しい」

    と、リクエストを受けたので、書き上げた一編

    去年の初冬に出会った友人
    このリクエストも、気遣いの一言なんだよなぁ……
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