かなぶん

成り行きでできた婚約者が村を出て早五年。大人たちの事情により、同じ学園に入学することとなった少女イツカは、本来であればすでに卒業しているはずの婚約者トーカがまだ在学していることを…

卒業後の行く末に頭を悩ませていた少女ヘキサは、はるか昔、同族を脅かした元邪竜と出遭う。長い年月を経てすっかり丸くなっていた彼は、このままでは契約に基づき、世界を滅ぼさねばならない…

相も変わらず街に留まる少女――だが、最近少女の頭を悩ませているのは、別のこと。先の人魚騒動の後遺症だ。そんな少女に、彼女の主治医はある食材の名を口にした。かくして、少女は山に登る…

小学生たちの夏休みに合わせて開催される、早朝のラジオ体操。なんとなく参加した少女は、そこで懐かしくも代わり映えのしない、くたびれた男と再会する。【一部R-15】※この物語は、法律…

「夏休み中に悪いが、地元のお祭りにコイツらを連れてってくれないか？」年の離れた兄から甥と姪の世話を頼まれた――そう記憶しているはずなのに、気づけば知らない客間で一人座っていた少女…

日課の見回りを終えた魔女に、家主と猫は「女神」を紹介する。

降り積もった白の中、異世界の魔術師は、遥か昔、初めて目にした外の光景に思いを馳せる。

希代の魔女が造り上げた小鳥型魔法生物は、恐ろしい罰則回避のため、今日も役不足の命令に勤しむ。

中学二年の夏休み最終日に起きた事故を境に荒れていた少年。自分でも抑えきれない感情に振り回される彼を周囲は遠巻きに見つめるだけ。親さえも腫れ物でも触れるように接してくる始末。ただ、…

定められた主を待つ雑貨たちが在る店。その棚の奥には、誰の目も引かない、店主でさえ気づかない箱がある。

そういえば――ふと思い出したことを彼女は問い、同居者は底抜けに黒い瞳を瞬かせた。

完成するなり意思を持ち始めた人形は、作成者も知らないことを語り出した。悩める人形に、魔女は呆れ、猫は小首を傾げる。

澄実ヶ原小学校の5年1組の科音御影は、ここのところ突き刺さる視線に戸惑っていた。分かっているのは、その視線が突き刺さる時、傍には決まって特定の男子がいることと、視線に強い攻撃性を…

父から世話役を言いつけられた目利きの少女と、彼女の主となった異国の人形師。人間と見紛う人形を挟んで反発していた二人は、少女の友人らを巻き込んで次第にその距離を縮めていく。※この物…

――結婚が嫌なら丁度いい職がある。色々諦めたため息と共に父にそう言われ、少女が身分と引き換えに鞄一つで出された先は、大神殿。神の寵愛の具現化と称される神子を擁する厳かな空気を前に…

下校中、鶴村真弓は光り輝くソレを目撃する。

これで何度目だろう。瞬き一つでまたしても戻された時間。もう何が始まりだったかわからないほど、飽きるほど見慣れた場所、時間を前にして、アキラはこれまた何度目かもわからない大きなため…

馬場鈴子、72歳。ゆえあって引っ越したのは、某ショッピングモール近くの訳あり物件でした。※サクッと読める短文構成です。※ノリと勢いだけです。※色々と酷い（予定）ので注意されたし。

余命半年――……。世界でも屈指の富豪である兼保優は、告げられた残り時間を前に、太古の権力者よろしく自分と共に死ぬ贄を求め、島一つを舞台にデスゲームを計画する。ウマい話に集められた…

世界の命運も、王都の華やかなゴタゴタも遠いのどかな村で、獣使いのヒナゲシはある日、白い毛玉と出遭う。ゆるい設定でのんびり更新中。

社会人ウン年目。見た目ボロでも借りているアパートの一室は「私」の大切なお城――なのだが、一人暮らしの彼女が帰れば、暗がりから『おかえり』と掛けられる声がある。※この物語は、法律・…

勇者やら魔王やらを題材にした短編集。※現在、大昔に某所で上げていたモノを手直しして再掲載中。※番外編はあくまで番外編です。魔王と勇者は必ず両方出てくるわけではありません。場合によ…

昔から身体の弱かったシエルは、結婚式当日、花嫁衣装に着替えたところで息絶えた。次に彼女が目を開けた時、広がっていた景色は、荒涼とした大地と踏み固められただけの土の道。話に聞いてい…

同年同月同日同時刻、七つの場所で小さな不運が重なった――その夜。七つの不運の場所が描いた歪な円の中心、とある民家の屋根の上に、一人の魔女と猫が降り立った。

春の新生活に向け、引っ越し作業の真っ最中だった真琴は、ふと見たテーブルの上に奇妙な物体を見つける。何とも形容しがたい見覚えのないソレに手を止めること数秒。ゴミ袋と火ばさみを手に取…

草木も眠ると言われるような時間に、子どもが二人、住宅街を歩いていた。見とがめる大人がいないか気にする様子も、夜の暗さに怯えることもなく、何かを探すように辺りを見渡しながら。そうし…

今にも降り出しそうな曇天の夜。追い詰められた男の人生は、「梟」の一振りで絶たれた。それは代わり映えのない、仕事の一幕。――しかし、この日は違った。

人さらいに遭った少年は姉の機転で辛くも危機を脱するが、代わりに姉が捕まってしまう。助けを呼ぶべく奔走する少年。だが、彼を知らない街は何もない幼子に優しくはなかった。そうこうしてい…

その本屋で出会った二人は必ず結ばれる――学校近くの公園でそんな噂について話し合っていた二人の少女は、見知らぬ大和撫子から絶叫に近い声で非難される。「こんな近場でぽっと出のくせに縁…

欲深い神がいた。ある時、別の神が治める地でその神の創造物を見初めた神は、其れを無断で持ち去り、虜とした。哀れなる其れは、しかし、ただの虜囚にはならなかった。欲深き神は、欲が深い故…

真夜中の学校で屋上から飛び降りる人影を見たなら、ソイツは死ぬ、あるいは呪われる――。そんな眉唾話に乗るつもりのなかった少年は、悪友の思いつきにより真夜中の学校に侵入する羽目になる…

気づけばどれだけ目をこらしても黒で塗りつぶされた場所にいた男。月明かりに照らされた輪郭のお陰で、辛うじてさまよい歩く内に、一匹の猫と出逢う。オレンジに白が入り交じった毛足の長い猫…

この学園には、家柄も然ることながら我が侭な振る舞いでも有名な令嬢と、そんな令嬢の側に控える心優しき万能の従者がいた。ある日の野外学習にて、運悪く、あるいは運良く同じ班になった少年…

抱き寄せる腕の中、女は目を閉じ、これまでをなぞる。そして――高らかに祝砲は響き渡る。

そのゲームにはおかしな噂があった。どのタイミング、どの場所かは分からないが、背景でしかないはずの、モブよりも絵に近い人物が急に自キャラを振り向くと、強烈な睡魔に襲われ、次の瞬間に…

旅を生活の友とする男はふらりと立ち寄った実家で、母からある「お願い」をされる。断り切れずに引き受ける羽目になったのは、可憐な少女。すれ違う人全てが振り返るような美少女を伴にした男…

10年前、結婚の許しが得られず、駆け落ち同然で結ばれたお笑い芸人とその妻。時を経て、大会での優勝を機に、彼らは再び妻の父と対峙する。全てはあの日、緊張の中で披露したネタを結婚の許…

十六の誕生日に祖父から家へ来るよう呼ばれた少女。てっきりプレゼントをくれるものだとばかり思い、喜び勇んで向かったのだが、期待も虚しくおかしな昔話を聞かされる。帰り道、台無しにされ…

父の再婚相手の息子が、アイドルグループの推しでした――そんなドラマ染みた生活が始まって早半年。何故か屋上で、少女は少年と対峙する。※ジャンル違いかもしれませんが、大目に見てくださ…

魔王を討ち滅ぼし、少年は勇者となった。それから幾年月。勇者は王となり、善き臣下にも恵まれ、治世は長く続く――と思われていたのだが。「……この頃思い出す、あの魔王の最期を。あれは……

未だ街から脱せぬ少女は、自称・人間の店主と共に訪れた海で、元いた場所で知る少年と遭遇する。人間好きの店主の分け隔てない扱いに、自分の感情を持て余してしまう少女。だが、揺らぐ心に時…

目覚めると見知らぬ食材店にいた少女。自称・人間の店主の勧めで従業員となった彼女は、人間ではない者が多く住まう街で、非常識な常識に戸惑いながら過ごしていく。全ては元居た場所に戻れる…

魔王とのラストバトル。たくさんの出会いと別れを繰り返し、様々な思いを一身に背負い、仲間と共に戦い、ついにその時を迎えた大将。王国に帰った彼は祝賀会を辞退するが、仲間に引きずられて…

小路町朱乃が市立絵空高校へ入学を決めたのは、この高校が一番自宅から近いから。通学時間が短ければ、その分家で気楽に過ごせる――そんな動機で受験を頑張り見事合格を勝ち取った彼女は、入…

ある日、何の前触れもなく異世界に召喚された篠宮璃乃。よく分からないまま聖女として祀り上げられてしまった彼女は、いるだけでありがたい存在として扱われ、ちやほやされる毎日を送ることに…

「……次は、成功するかもね」聞こえるか聞こえないかの声で、いつも最後に呟かれる言葉。これにホイホイつられてきた高橋進は、その日もまた、幼馴染みの相坂詩織へ告白する。どうせフラれる…

所有者を惑わし、いくつもの世を終わらせてきた忌まわしき魔導書。意思を持つ其れは、此度も一人読み手を招く。その地に住まう者の声と血を以て、身に宿す数多の魔獣を解き放つべく。※シリア…

ある日、田中良夫は学校一の美少女であり、同じクラスの隠明寺麗那がスマホをベンチに置き忘れるところを目撃する。急いで拾ったものの彼女の姿はすでになく、仕方なしに鞄の中へ。翌日、彼女…

ホテルにて。両隣の五月蝿さで目覚めた男。再び寝入る状況でもないと、早起きして仕上げようと思っていた書類に取りかかろうとするのだが……。

幼馴染みが勇者になりました――。それは良いとして、何故か仲間に加えられた魔法使い（見習い）は、爆速で道すがら問題を解決していく彼の背中に思う。（私……必要？）しかし、旅の終わりを…