白川紺子さんの『後宮の烏』シリーズの後に読み始めた、上橋菜穂子さんの『鹿の王』。
登場人物が漢字の名前だったりするので、てっきり中華風ファンタジー小説かと思って読み始めたのだけど、まったく違っていた。自分が中華風ファンタジー小説を書くようになるまで、ファンタジー小説というものを読んでこなかったので、まだまだ知らないことがいっぱいあるようだ。
異世界ファンタジー小説って、ここ<カクヨム>でよく見かけるテンプレが条件の転移・転生ものか、後宮を舞台にした恋愛ものばかりだと思っていた。『鹿の王』のようなファンタジー小説もあるのだなあと、いまさらながらに知って驚いている。それに、これは角川文庫。そのうえに、本屋大賞と医療小説大賞を受賞。
カクヨムのエッセイで「ファンタジー小説といえば、転移・転生ものばかり。それを出版するカドカワ書店も地に落ちた」というような内容をよく目にするのだけど、それなら、角川文庫の『鹿の王』を読んでみたらと言いたい。たぶん、『鹿の王』がカクヨムで書かれていたら、きっとPV数は少ないだろうなあ。
この『鹿の王』、最初の100ページくらいは退屈でしようがなかった。やっと物語の世界観が掴めて、いまは2巻目の終わりあたりだけれど、いまだにサクサクとは読めない。それでも面白さがどんどん深くなるという感じで、少しづつ読み進めている。カクヨムの小説指南エッセイでは、「小説は初めのつかみどころが大切。情景文や登場人物の描写を書き込み過ぎると読まれない」と書かれているけれど、そういうものでもないなあと思う。
<カクヨム>の状況を分析して腐し嘆く時間で、自分の目指す世界観の小説を書店や図書館の棚から探し出してそういうものを読み、そしてそういうものを書けばよいと思う。