なんだか前回ベイビーステップについて書いてたら、久しぶりにまた読みたくなったので、粛々と読み返したりしておりました。
やっぱり個人的には、全日本ジュニア編が一番好きですな。
この辺りは、一試合一試合が本当に面白い!
(以下、多大なるネタバレの嵐)
ベイビーステップは、単行本全47巻にも及ぶ大長編なわけですが、ストーリー展開的に、大体以下のくくりで分けられます。(※あくまで個人的な区分け)
1~5巻:優等生、地道にこつこつ頑張る編
6~11巻:地獄の特訓編(途中、なぜか米国に高飛び)
12~28巻:名勝負連発、全日本ジュニア編
29~39巻:プロ選手をぶち殺せ! 全日本選手権編
40~47巻:プロはつらいよ編
……まあ、これを見ると分かる通りですね、主人公のエーちゃん、最終的にはなんと、プロのテニス選手になっちゃいます。
高校一年からテニスを始めたのに……。
高校入学時点では、そんなに運動のできないガリ勉系優等生だったのに……。
なにがどうしてこうなった、エーちゃん。
……ま、原因はヒロインなんですけどね!(極論)
しょうがない、なっちゃん可愛いもん。
勢い余ってプロにもなっちゃいますよ、そりゃあ。
(なっちゃん休題。そんなのずるいよ(キュン死))
……で、そんなエーちゃんが、優等生らしいコツコツした努力で着実に実力を伸ばし、知恵と工夫で格上選手相手にしぶといテニスを繰り広げていくのが、大体6巻くらいまで。
そこから、なんだかんだあって真剣にプロテニス選手を目指すこととなり、地獄の肉体改造に着手したり、アメリカに修行にいっちゃったりするのが11巻くらいまで。
そして過酷な特訓の日々を経て、半年間であり得ないレベルアップを遂げたエーちゃんが、世代トップの高校生が集う全日本ジュニア選手権で名勝負を繰り広げていくのが、28巻くらいまで。
あとは、長いので省略。(ひどい)
とにかくこの全日本ジュニア編が、最高に面白いのです!
地獄の日々を乗り越えたエーちゃんが、地区予選のノーシードから一気に躍進していく様が、たまらんのであります。
(以下、ネタバレは続くよどこまでも)
そしてこの全日本ジュニア編の中でも、特にベストバウトと言える試合は……
個人的にはやっぱり、関東ジュニア2回戦の、vs井出戦ですかね。
ベイビーステップの真髄と言える要素が、あちこちに散りばめられている一戦だと思います。
この、対戦相手の井出くんがねぇ……明るい陽キャで友達も多く、全国上位の実力を誇り、派手なプレーで観客を沸かせるという超人気選手なのです。(ただし、たまにポカもやらかす)
しかも、観客の声援を自身の力に変えることで、いわゆる「ゾーン状態」に突入することができる特殊能力(?)を持ち、試合が盛り上がれば盛り上がるほどその力が増していくという、チートキャラ。
一方のエーちゃんは、試合中、コートチェンジの休憩時間もノートに対戦相手のデータを書き続け、そこから考案した作戦・戦術を生真面目に実行し続ける、職人気質で地味なトサカ男。
……一体、どっちが主人公なんだっていうね(笑)
井出はホント、気持ちいいくらい王道のスポーツ漫画主人公系キャラなのです。
……とはいえ、地獄の肉体改造期間を経たことで、実力的には全国クラスの井出とも拮抗し、試合序盤は大差のリードを奪うことに成功するエーちゃん。
が、日本人離れした天才的メンタルを誇る井出は、ここからが手強い。
追い込まれたことで逆に燃え上がり、理論派のエーちゃんが長い時間をかけて練り上げた戦術を、直感的な閃きと鬼メンタルによって、あっさり覆してしまいます。
そして、そんな井出の逆転勝利を期待するギャラリーの声援と、その声援を受けてさらに強化されていく井出のニュータイプ的なパワーに、徐々に圧倒されていくエーちゃん……。
ですがエーちゃんも、ただやられっぱなしでは終わりません。
「井出劇場」とも言える、井出の応援ムード一色に染まっていく会場の空気に飲まれていることを自覚したエーちゃんは、そのプレッシャーに打ち勝ち、純粋なテニスだけで勝負するために、とある作戦を実行します。
それが、「プレッシャーをはっきりイメージして、頭の中からペロッと追い出しちゃおう」作戦。
一体、なんのこっちゃ……。
まあ要するに、
1.自分が試合の中でプレッシャーに感じている要素から目をそらさず、あえて具体的に思い浮かべてみる。(例:この試合で負けたら全国大会に出られず、プロを目指すのは諦めなきゃいけない……とか)
2.思い浮かべたプレッシャー要素を、サーブでプレーが始まる直前に、頭の中から全部消し去ってみる。(消すと言っても、あくまでイメージ的な話)
3.そうやってプレッシャーが消えちゃえば、あとはなにも気にせず、スッキリ動けるよね! めでたしめでたし!
という作戦です。
……わけがわからないよ(真顔)
しかもエーちゃん、「プレッシャーを全部消しちゃうと、力も抜ける感じがする。ってことは、全部は消さない方がいいってこと?」とか自問し始めて、ついには「じゃあ次は、プレッシャーを全体の30%だけ残すイメージで消してみよう!」とか考え出す始末。
……ますますわけがわからないよ。
30%だけ残すってなに? プレッシャーはバッテリー残量なの?
プレッシャーをパーセンテージ認識して処理しようとするスポーツ漫画の主人公って、一体なんなのでしょう(困惑)
ですがこの謎の作戦が、なぜか功を奏します。
自身を心理的に追い詰める要因をサーブ前に排し、「あとは目の前のプレーだけに集中!」という作業を繰り返していく内に、いつの間にかエーちゃんの中で理性と本能のバランスが噛み合っていき、なんと井出だけでなくエーちゃんも、「ゾーン」に近い状態へ突入していくのです。
やがて、意図せずゾーン状態となったエーちゃんと、ナチュラル直感ゾーン状態の井出がぶつかり合って、試合は白熱。
井出の応援が大多数だった会場も、いつしかエーちゃんと井出の双方を応援する浮気者が続出し始めます。
「状況が違ってきたら、その都度自分と向き合い、プレッシャーを消す作業を繰り返して……あとは目の前のプレーに集中。それが今俺にできる、全部!」
鬼メンタルのハイテンション野郎に、テンションや奇抜な発想で対抗するのではなく、あくまで自分らしく、地道な戦い方を貫き続ける。
このコツコツっぷりが、非常にエーちゃんらしくて大好きなのです。ほんと名勝負ですよ、これは。
……しかも、この井出戦の前にね。とある核爆発級の衝撃が巻き起こったことなんかも相まって、個人的にはやっぱりこの試合が、一番思い出深いのですのよねー。うそじゃないですー(大爆死)
あーやばい。書き始めると止まらないよー。
まだまだ語りたい試合は沢山ありますが、このまま百科事典とか作っちゃうとあれなので、ここらでおしまいにしましょう。テニスは楽しいでござるよー。あなかしこー。おしりー。