タラゴナに行って来た。
タラゴナは、スペインのカタロニア地方の南部にある紀元前二百年頃からの歴史を持つ都市だ。ローマ帝国がイベリア半島に進出したときに、最初の居留地にしたのがタラゴナだったらしい。街のあちこちに今でも残るローマ時代の遺跡は大変見ごたえがある。海に面した円形劇場は青い地中海を背景にとても美しいし、その隣にある、部分的に残る競技場の遺跡には今では幾つものビルがそびえて当時の競技場の大きさに圧倒される。
同時に、タラゴナは不思議な街である。ローマ遺跡を修復して一大観光地になっている一方、路地に入るとなんともうらびれた雰囲気が漂っている。東京でいえば新大久保とか上野とかの路地裏で、カバンを前に抱えて早歩きで通り過ぎなければいけないような雰囲気である。そしてそういう通りは必ずおしっこ臭かった。
そして鳩がいっぱいいる。なんでこんなに鳩がいるんだと思うくらいいる。
私が泊まったホテルの横には公園があったのだが、夕方になると鳥の嬌声が響き渡る。最初はインコか何かが騒いでいるのかと思ったのだが、どうも木に取り付けられたスピーカーから流れているようだった。そして注意して聞くと、その鳴き声は鳶であった。どうも夕方になって、鳥がねぐらに戻っていく時間に、鳩が公園に来ないように鳶の鳴き声をスピーカーで流しているようだった。それにもめげない鳩が何羽かいて、何事も起きていないかのように木に留まっていた。
写真は円形劇場と競技場。円形劇場と競技場と何が違うんだと思うが、劇場の方は『グラディエーター』の映画で出てきたみたいな兵士同士の戦いや闘牛を見る場所で、競技場の方は『ベン・ハー』で出てきたみたいな馬車でレースをするところらしい。
円形劇場の方は、後世、真ん中に教会が建てられて(その後、牢獄としても使われたらしい)、その土台が残っているのがわかる。
競技場はデカい。写真で二か所に分かれている観客席は向かいではない。角を挟んだ隣同士の観客席である。
大きさを体感するために、写真をクリックして拡大して見ていただきたい。