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タラゴナに行った話(1) ローマ遺跡編

タラゴナに行って来た。

タラゴナは、スペインのカタロニア地方の南部にある紀元前二百年頃からの歴史を持つ都市だ。ローマ帝国がイベリア半島に進出したときに、最初の居留地にしたのがタラゴナだったらしい。街のあちこちに今でも残るローマ時代の遺跡は大変見ごたえがある。海に面した円形劇場は青い地中海を背景にとても美しいし、その隣にある、部分的に残る競技場の遺跡には今では幾つものビルがそびえて当時の競技場の大きさに圧倒される。

同時に、タラゴナは不思議な街である。ローマ遺跡を修復して一大観光地になっている一方、路地に入るとなんともうらびれた雰囲気が漂っている。東京でいえば新大久保とか上野とかの路地裏で、カバンを前に抱えて早歩きで通り過ぎなければいけないような雰囲気である。そしてそういう通りは必ずおしっこ臭かった。

そして鳩がいっぱいいる。なんでこんなに鳩がいるんだと思うくらいいる。

私が泊まったホテルの横には公園があったのだが、夕方になると鳥の嬌声が響き渡る。最初はインコか何かが騒いでいるのかと思ったのだが、どうも木に取り付けられたスピーカーから流れているようだった。そして注意して聞くと、その鳴き声は鳶であった。どうも夕方になって、鳥がねぐらに戻っていく時間に、鳩が公園に来ないように鳶の鳴き声をスピーカーで流しているようだった。それにもめげない鳩が何羽かいて、何事も起きていないかのように木に留まっていた。

写真は円形劇場と競技場。円形劇場と競技場と何が違うんだと思うが、劇場の方は『グラディエーター』の映画で出てきたみたいな兵士同士の戦いや闘牛を見る場所で、競技場の方は『ベン・ハー』で出てきたみたいな馬車でレースをするところらしい。
円形劇場の方は、後世、真ん中に教会が建てられて(その後、牢獄としても使われたらしい)、その土台が残っているのがわかる。
競技場はデカい。写真で二か所に分かれている観客席は向かいではない。角を挟んだ隣同士の観客席である。

大きさを体感するために、写真をクリックして拡大して見ていただきたい。

6件のコメント

  • 人間に比べるとハンパない大きさですね。ローマ時代にこんなん造ったなんて、すごい!そこで繰り広げられる格闘技とかレース、すごい迫力なんでしょうねー。
    そして、海が綺麗ですね。

    全然関係ないのですが、プラナリアさんの顕微鏡読み始めました。素敵なお話と引き合わせてくれてありがとうございます😊
  • 堀井さん、コメントありがとうございます!

    ねえ、こんな壮大なものを建設機械も無い時代に作ったなんて、人類の才能はすごいですよね。でも、たくさんの奴隷が使い捨てのように労働にあてがわれたのではないかとも思います。
    格闘技もレースも迫力満点だったと思います。人間も動物も必死ですからね😅

    「顕微鏡」お読みいただきありがとうございます <(_ _)>
    プラナリアさんの作品も堀井さんと同様心理描写がしっかりしているので、じっくり浸って読んでいただけるのではないかと思います。ぜひお楽しみください。
  • んわ!すんげぇ!テレビでしか見たことないような、でっかい遺跡だぁ!!世界の景色は壮大だなぁ。
    やっぱり、海沿いは栄えますな。風景も良いし、ロマンいっぱい♪
  •  闘技場……「パンとサーカス」(ローマ帝国にとって、市民への生活の保障と娯楽の提供が重要課題だった)という言葉がありますが。
     サーカスとか普通の格闘技ならともかく、そんな血みどろの剣闘とか皆見たかったのか……?(必ずしも死での決着ではないようだけど)

     その辺は文化というか時代と環境によるものか。日本でも徳川綱吉が将軍となるまでは戦国の気風が残った血なまぐさい感じだったらしいし。

     現代の日本人らしさって「穏やかさ」が大きな要素だと思いますが、それって綱吉以降に作られた歴史の浅いものなんだろうなあ……それまでは日本人もサイヤ人みたいな戦闘民族だったのであろう。
     うっひょ~、世界には強ぇ奴がいっぺぇいるなぁ! オラわくわくしてきたぞ!(声:悟空)
  • 正覚坊さん、
    「皆さ~ん、私がどこにいるかわかりますか〜? なんと、紀元前から残るローマ遺跡に来ていま〜す!」ってテレビでやってるヤツですよね笑
    海が背景だからより素敵に見えますよね。こういう視覚的効果も狙って建てられてるところがすごいなと思います。スペインの海岸沿いにはフェニキア -> ギリシャ -> ローマと上書きされていった遺跡がたくさん残っていて見学しがいがありますよ。
  • 木下さん、
    そう! 「サーカス」という言葉がローマ時代の競技場から来ているということをこの旅行で知ったんですよ! (世界史の時間は寝てたらしい)旅芸人の出し物という意味での「サーカス」は 19 世紀の言葉らしいですね。

    「パンとサーカス」、私はずっとピエロがパンをお手玉にしてる様子を想像してました……。

    血みどろの戦いですが、時代なんじゃないですかねえ。イギリスでもキツネ狩りが貴族の娯楽だったし、スペインの闘牛でも背中に槍を何本も突き立てられて血みどろになってる牛を見てワーキャー言ってるので、ごく最近まで生き物を殺したり虐げたりするってことに違和感無かったのでは。日本でも闘犬とかあったし、鶏とか自分家でしめてたりしたわけだし。

    それに今でもマンガの中ではみんな血だらけになってケンカしたり、ボクシングしたり、生き残りゲームしてるんだから、メンタル的にはそんな変わってないんじゃないかなと思います。
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