眠る前は夫と脈絡のない話をする。ある日「思いついた国の名前、せーので言おう」と私が提案した。それから考える間も与えず「せーの」と言うと、二人の声が「ウズベキスタン」と重なった。夫にはこういう不思議なところがある。
先日、「私って『Dr.スランプ』のキャラだったら誰に似てる?」と夫にたずねた。私は『Dr.スランプ』の登場人物をアラレちゃんしか知らないし、夫が特別『Dr.スランプ』が好きというわけでもない。なぜか頭の中にその質問が浮かんだのだ。
夫は少し間を置いて「ガッちゃん」と答えた。「ガッちゃんって?」と私が言うとGoogleで検索して画像を見せてくれた。
緑色の髪の、羽が生えた赤ちゃんのようなキャラクターだった。夫は続けて、
「ガッちゃんはなんでも食べるんだよ。ビルとか」
と教えてくれた。
その後見せてもらった動画では、ガッちゃんが車を食べた後、タイヤを吐き出していた。ゴムだけは食べられないらしい。私の暴飲暴食がガッちゃんと重なったのだろうか。
話は少し逸れるが、躁が激しかったときの私の俳句はまともじゃなかった。普段詠まない無季の句や、思想の激しい句を垂れ流すように作り続けた。その中に今となってはよく分からないが「季語を食べている」一連がある。
残雪飲み干した膀胱が切ないと叫ぶ
蝶々は食いちぎったら少し苦い
等、とにかく食べ物ではない季語を食べまくっているのだ。もちろん夫はこれらの句のことは知らない。
ともかく、私はガッちゃんが気に入った。なんでも食べてしまう怪獣のようなところに共感したのだ。ちなみにガッちゃんも双子(二人いる?)らしい。今度時間があるときに『Dr.スランプ』のアニメも観てみようかしら。