『学校一の美少女が美味しくなって新登場なんだが!?』大反省会



https://kakuyomu.jp/works/1177354054893627053 の反省会会場です。
みなさんからの感想や疑問、改善点等お待ちしているので読んでください。

今回のコンセプトは「陰キャ男子×トップカースト女子系のラブコメ+『天気の子』」です。前者はラブコメではポピュラーで、後者はキッズから玄人オタクにまでバカウケした名作なので手堅くできるでしょう、と言う感じで始まりました。本当はもっと『僕の心のヤバいやつ』(今ネットでビチビチに流行ってるラブコメ漫画)みたいにキュンキュンするシーンを入れた方がジャンルの需要に見合っていることはわかっていますが、「人間が減っていくってどういう事なんだろう」というお話の方を優先しました。私が面白いと思ったからです。

構成的には一万字の制限上、開始を交際後からにする等もっとシーンを絞って静かにかつ前向きな方向(それこそ4話ラスト~エピローグを真面目に書くような感じで、再会の可能性を示す)も考えました。そうすれば心情描写やシミズさんの可愛い所も厚くできたろうし。まあでもハッピーエンドの方がいいだろと、今回も頭からケツまでギチギチ一杯詰め込んで出来上がり。エピローグの後ぶち抜いたのは、「ちょっと不思議なでもどこにでもありそうな問題を題材にした悲恋」というパッケージングを壊したかったらです。でもこれラブコメジャンルだし、暗い話だと思われてもあれなんで各所にウケ狙いを撒いたのでどっちつかずになってしまったかも。

あと言うまでもないことですが、『テゴンドルジ将軍』なんて曲は存在しません。
モンゴルの人達ごめんなさい。

以上。

以下はキャラへの反省です。


サパタ
クレーム一発でステルス値上げを止めた本物の男。
市川京太郎から魅力と低身長と暖かい家族を抜いて貧困と虚無を詰め込んだ造形。
別に泣きボクロフェチでは無くて、失われていくものの象徴として使っているだけです。

シミズレイネ
完全に物語の犠牲者でしたね。
別に家庭に問題とかいじめを受けたりしたりとかも一切なく、単純に自分と自分の人生を肯定できず限界を迎えただけです。賢くて背が高いので、サパタ君のような人が目に入ってきちゃうんでしょう。
「言い知れぬ苦痛や孤独」としか書けませんでしたが、言い知れぬなりにもっと表現してれば記号の塊から人間に堕ちていく姿が見れたんじゃない? わからんけど。

バンドの奴ら
役割的にはシミズさんでは無く主人公を見ている、好意的な他人。(クラスの連中はその逆)
字数の制限上、サパタ君が自律的に自分の感情に気付くことはできないだろうと活躍。
とはいえ、喋らせすぎた。
ちなみにバンド名は「モンゴリアンデスワームズ」です。合ってました?

さて、私からの反省はこんな感じですが、みなさんにも参加していただきやすいようこちらから気にしている所を三つ挙げてみました。このうちのどれかか複数、またはこれ以外にも何か思うところあればぜひぜひご指摘ください。

①私の文体って今どうなってるんですか?
今回書いてて「SS(いわゆる『まおゆう』的な2chで育まれた会話主体の短編小説の様式)の下手なのになってないか」とか思ったけど、これってちゃんと物語として投げずに読み進められますか?
自分なりにWEB小説に適応しようとして、
1なるべく会話かモノローグ(この場合一人称)で物語を進める
2描写は読者が場面を想像できそうな最低限の量を狙う
3会話も地の文も一文は短ければ短いほどよい
4リズムはよくする
の、四つを心掛けていった結果こうなってしまったんですが、2・3辺りが原因で全然読めなくなってないかな。

②シーンの選択に不安があります。ちゃんと物語の起伏に乗ってもらえましたでしょうか?
出会いから仲を深め、両者の心象を深掘りし二人の変化の酸いも甘いも噛み締める……みたいなのが恋愛物の一つのパターンかなって思ってるんだけど、この場合短編だとどうしてもシーンを厳選して違和感なく流れを理解してもらえるよう作っていかないといけない。それ、できてました?
「なんか知らねーうちに仲良くなってんな」「え、なんかヒロインの言ってることわけわかんな」「なんか主人公いきなり切れててコワ~」になってませんでしたか?

③シュリンクフレーションに対する解釈って本当にあれでいいんですか?
経済のことなーんもわからん。いやそもそも経済の話なのかこれ?
同じ「美味しくなって新登場」でも個々に別の問題な気がするし。純粋にコスト上の問題か、カロリー食べ易さ等本当に需要に応えた戦略として行われたものなのか。後者でも実際はコストカットを兼ねていて「需要に応えた戦略」だけが建前として利用されてるとか、建前じゃないにしても企業側では暗黙の了解的に合意なく行われる慣行なのか……マジで何かを勉強したこと一度も無いので何にもわからない。いや、そのわからなさを突き抜けて意志を通したのがサパタ君だから今更正誤なんて気にしてもって感じではあるが。


こんな感じです。

最後に、本作を読んでくださったみなさま、ありがとうございました。
何か改善点や疑問点などありましたら忌憚なくコメント欄にお書きください。
みんなで最高の反省会にしましょうね。

4件のコメント

  • こんにちは〜
    まず好きだったポインツを挙げますね
    ・泣きボクロが飛んでく冒頭の説明のなさ(ようわからんけど印象的で、読書意欲を牽引されました)
    ・「良くない?」「良い!」
    ・ローストビーフ記念日
    ・というか言い回し全般
    ・テゴンドルジ将軍(はあ!?)(バンド構成が大好き)
    ・エピローグ(騙されました)
    ・サパタくんが彼女を好きだったのだと気づいた瞬間の無茶とかスピード
    ・サパタくんの叫び
    ・レイネさんの苦笑い

    筋を理解できてるか自信ないです。個人的な解釈としては、学校一の美少女としての嫌われないための振る舞いをするのが重荷で全部やめようと思ったヒロイン、を好きになった男がヒロインの重荷さえも肯定して「その荷、俺と分かち合おうよ」って伝える話なのかなあと思いました。全然ちがったらすみません。なんでステルス値上げの話が出てきたのかわかりきれてないです。

    ①ですが、読みながら個性と可読性のバランス感覚がすごいなあと思っていたので大丈夫だと思います。
    ②は、仲良くなる過程はわかったのですが、なんでレイネさん満身創痍になってるんだろうと思いながらそのまま読んじゃったので、そこから先は雰囲気でわかった気分になってました。
    ③は……わかりません!(ドンドコ学部卒)

    一回しか読んでないので読み返したらもっと楽しめそうだと思いました。
    おもしろ小説ありがとうございました!!
  • かぎろさん……コメントありがとうございます!!
    お褒めの言葉もたくさんいただけて最高に嬉しいです。

    筋の理解、またはシミズさんは何故ステルス値上げしていったのか、という点についてですが、ご指摘されて初めて思い至りました。お恥ずかしい限りです。言い訳になりますが、やはり文字数の制約で雰囲気でやってた部分が多いところでした。

    一応自分なりに考えをまとめておきますと、かぎろさんの解釈と概ね同じです。ただ、このお話は『美味しくなって新登場』ありきです。つまりシミズさんと、サパタ君を初めとする他の人々との関係は、そのまま商品と消費者の関係として考えていました。

    高校生になり、人生を損得で考えるという発想を獲得した時、淡い絶望がシミズさんを支配します。自分=学校一の美少女というパッケージングを維持する為の労力に対して得られる物が見合わない、と。しかし、パッケージングを完全に放棄すればもう自分ではない。思い詰めた結論が、パッケージングは維持したまま、容量=魅力を徐々に失くしていく(2話で「ちょっと疲れちゃって」からと説明している内容ですね)という本編の行動です。最終的な帰結が転校または姿の消失なのは、負担を掛けずに「学校一の美少女」である為の彼女なりの結論でした。

    本編中ではシミズさんのステルス値上げが進行するのを気にしめても誰も本気で心配しません。シミズさんも自分を維持する苦痛=コストを和らげる為何でも減らしていきます。それが自分の精神や健康でも平然と。つるつると誰もツッコまないまま日常が過ぎ、別れの場面でまで何か脈絡なくホーミーが流れ出してうすらぼけたまま終わってしまいます。それが最後のサパタ君の叫びで糾弾され、「商品も消費者も経済の一部なのだから、コストの変動または戦略上の理由によるパッケージングの変化を受け入れる」という文句で和解する、という流れです。だから「重荷を分け合う」というよりは「今もいいけど、昔のもいいね~、これからも買い続けるよ。ところで復刻版出さない?」ぐらいです。最後シミズさんが泣きボクロがあること以外触れられてないのがミソ(ホンマか?)で、彼女がどんな姿=有り方を選択したかは彼女と読者の皆さんの想像の余地に委ねられてるんですね~(ホンマか?)

    と、ここまでゴチャゴチャ書きましたが、要するに「トップカーストであることに疑問と疲弊を感じた女子高生」を商品に見立て、人生や人間関係での損得とステルス値上げという経済現象を連動させるのが本作の趣旨……だったのですが、そこが乖離した印象を与えてしまうようでは、やっぱり私の腕では難しかったようです。

    かぎろさんのコメントのお陰でとても勉強になりました。
    本当にありがとうございました。
  • こんにちは!
    今作読みました~楽しませていただきました!

    相変わらずの長野推しで、今回は諏訪ということで興奮しておりました!

    さて、気にしている点について、私の意見をば。
    筆者様の文章は好きですし、突き抜けてほしい部分もありますが、
    あくまでも一意見として、所感を述べさせてもらいますね。

    ①私の文体って今どうなってるんですか?
    上記の懸念点に関して、1,3,4は問題ないと思います。
    とくに会話部分、第3話とかめっちゃ笑いました!
    カンニングのために服に四書五経書いてたとか知ってるサパタ君、只者ではないな……

    2の「描写は読者が場面を想像できそうな最低限の量を狙う」の箇所だけ、一つ意見を。
    とくにエピローグ部分がメインになりますが、描写部分における比喩表現の多用が原因で、抽象度が高くて理解が追い付かない部分があるんですよね(私の読解力が追っついてないだけかもしれませんが!)。

    泣きボクロを削られた彼女の重要な要素と見立てて印象的に構成されているのは良いと思うのですが、
    「誰かが誰かに望まれて削られてきた全ては空に蓄えられていた」
    「削りすぎて見えなくなってしまったのか」
    「拳の中で暴れるそれをそっと放す」
    「俺はどこへともなく呼びかけたが、返事は無い」
    「世界中の誰かが引き受けてくれたんだろう」
    上記の比喩描写から、個人的にはてっきり、最後のレイネの声はサパタ君の幻聴かと思ってたんですよね
    最後の最後に自分の気持ちに気づいて、自分とレイネの幻影を通して対話をして、主人公は大人になった、みたいな。
    東京に行った彼女のことは、きっとほかのだれかが救ってくれる……みたいな、失恋を受け入れたーって感じだと思ったんですよね。

    そしたら最後「彼女は泣きボクロのある苦笑いで答えた」で、レイネおるぞ!? となったというか……

    筆者様の文は好きで、勢いのあるギャグの中にもメッセージ性があって良いなぁと思っています。
    そんな中で、比喩や抽象度の高い表現も印象に残すには効果的ですし、ぜひ今後とも使ってほしいのですが、
    使用の分量と前後の文脈で分かりやすく補足するなど、使いどころを工夫すると良いかな、と思ってます!

    ②シーンの選択に不安があります。ちゃんと物語の起伏に乗ってもらえましたでしょうか?
    シーン選定は問題なかったと思います!

    ③シュリンクフレーションに対する解釈って本当にあれでいいんですか?
    テーマは良いと思いますが、扱いは個人的にはちょっと惜しいかなぁと。
    短編なうえ、ラブコメジャンルなのでレイネのシュリンクフレーションは大仰に描写したのだと思いますが、
    本来はもう少し、商品側的には「ばれない様にやる、ないし文句言われないようにやる」が本質的なとこだと思うんですよね。
    商品側的には「小さくなってもおいしさ変わらず」と言いますが、そもそも商品価値が下がっていることに正当な理由をつけて、
    世間からの評価はなるべく落とさないようにするって狙いがあるといいますか。

    実際、ステルス値上げに気づいたら消費者側は文句を言いますが、商品の根幹が変わるほどの変化はないと思います。

    もちろん、今作の場合は商品価値が下がっていること=彼氏の影響(商品側の一方的な言い訳)、という理由があるのは分かりますし、
    これくらい思い切らないとクラスの人たち=消費者の図式が成り立ちにくかった部分もあると思うので仕方ない部分もあると思いますが、
    今回の場合はカント〇ーマァムが訳あり煎餅になるくらいの変貌だったので、題材としてはちょっと違うかなと。

    カ〇トリーマァム題材なら、最後消えちゃうのも納得ですけど……!

    もう少しレイネの手抜きは小さい部分で(それこそホクロほど微細)で、いつも他の人は気づかない変化に気づいた(ずっと見ていた)サパタ君だけが突っ込んで、
    二人の仲が進展していく~という感じだと、もう少しテーマに対してそれっぽかったかなぁとか。
    最初はサパタ君だけが気づいてたけど、小さな変化が積み重なって、段々クラスで噂になって、傷ついて……
    そこから、「商品価値を維持することの大変さ」を共有した二人が大人になっていく、みたいな。

    いや、作者様に対してテーマ部分突っ込むとか激烈に野暮ですし、伝えたいメッセージは好きに伝えればよいと思っているので、
    ほんとあくまでも一意見として見てもらえれば……!
  • 五島さん、新年から反省会に参加していただきありがとうございます!
    丁寧に読み込んでくれて嬉しいです。いただいたご意見、とても参考になりました。

    今回の終盤の比喩描写の多用は、単に文字数が足りないのと、テーマへの解釈を決めきれず含みを持たせたことから起きたことなのですが、やはりわかりにくくなっていしまいましたか。論理的にも「シミズレイネは転校した」と「シミズレイネは削りすぎて見えなくなった」という事実の齟齬を何ら解消していなかったので、五島さんのような読み方が出るのは当然だと(指摘された今は)思います。

    というか個人的には「サパタ君が幻影との対話を通して大人になる、レイネさんのことは誰かが救ってくれる」というエンディングはグッと来てしまったので、そういう解釈も全然いいんじゃないでしょうか、最後のもホクロのある幻覚ってことで。私本来の意図ですと、サパタ君が黒い雨の中でレイネさんのホクロを違わず捕まえる(冒頭のシーンとの対照)ことで他人に押し付けられるのではなく現実を能動的に選択したことで本当のレイネさんが現れ、偽りのない対話を経て、失くしたものを取り戻す、という流れでしたが、厳しかったですね。

    本当は比喩描写は抑えるだけ抑えて要所で決めていきたいとは思っているんですが、今回は文字制約上最後現実感を破壊してライブ感で押し切るしかない状況になっていたので、構成に大きな原因がありました。一度キュッと収まる量の物語で、比喩の分量を抑えて段取りを意識して書いてみようと思います。

    それからテーマの扱いへの指摘は目から鱗が落ちるようでした。
    〉商品側的には「ばれない様にやる、ないし文句言われないようにやる」が本質的なとこ
    これは自分の中には全くなかった卓見で、本編に今一足りなかったのはそこだったのではないかと感じています。お見込みの通りの理由で、本編ではステルス値上げと言いながらカントリーマ〇ムが訳有り煎餅になるような大仰な変化になりました。ただこれは、本編をサパタ君視点で「(サパタ君にとっては)彼氏の影響というエクスキューズでは済まないようなことがなぜかスルーされるし、してしまう」(=経済という大きな存在に翻弄されてるのに誰しもが決してそれを見ることができず声をあげようとしもない)不条理劇として書いていたから(経済のこと何も知らないのに!?)もあって無茶に誇張していった側面もあります。

    しかし、以下の案を見た時には脳に電撃が走りました。

    〉もう少しレイネの手抜きは小さい部分で(それこそホクロほど微細)で、いつも他の人は気づかない変化に気づいた(ずっと見ていた)サパタ君だけが突っ込んで、二人の仲が進展していく~という感じ

    こっちの方が収まりがいいしよっぽどラブコメじゃん!

    いつも最初のアイデアから二案を作らず突っ走ってしまうのですが、これは根本から考え直した方がいいのでは、と思うぐらいにはテーマに真摯だし面白そうだと感じました。私のプロットは『天気の子』に影響を受けていて、そこでは貧困が重要な要素として描かれていたので割と意識的に取り入れていました。だからステルス値上げへの解釈自体にも「将来への仄暗い不安」(本編だとBa.の「――どんどん小さくなって、最後は無くなっちゃうのかな」という台詞等)という見方が強くあったんだと思います。一度フラットな視点で立ち返ると確かに五島さんの言うように「ばれないようにやる」という点を書かなかったのは片手落ちだったなと汗顔の至りです。

    ……まあでも本当はテーマなんてあまり関係なくて、「は? テゴンドルジ将軍(悲劇的な場面で完全にふざける)は絶対やるんですけど!?」と決めた時点でこのお話の命運は決まっていたのかもしれません。


    さて、長々と書いてしまいましたがとても勉強になりました。
    実はこのお話は元はもっと長い尺で考えていたのを一万字にしたもので、いつか長編に直してどこかに載せようと思っていました。その時は五島さんのご意見を活かし、さらに美味しくなって新登場させようと思います。
    本当にありがとうございました!
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