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ライ麦畑のキャッチャーと史上最大の作戦

桜庭一樹が朝日新聞の「古典百名山」連載で、J.D.Salinger ”The Catcher in the Rye”の主人公が「ライ麦畑のキャッチャーにこころからなりたい」という心情は、作者の第二次世界大戦のノルマンジー上陸作戦に参加した体験から来ているという指摘には驚いた。
たしかに、この本の「22」でその心情を述べるシーンを読み返してみると、
「でもとにかくさ、だだっぴろいライ麦畑みたいなところで、小さな子どもたちがいっぱい集まって何かのゲームをしているところを、僕は思い浮かべちまうんだ。何千人もの子どもたちがいるんだけど、ほかには誰もいない。つまりちゃんとした大人みたいなのは一人もいないんだよ。僕のほかにはね」
と、たしかに語られている。
数人の子どもではなくて、何千人という規模にはちょっと驚く。
THE LONGEST DAY(邦題・史上最大の作戦)で見たノルマンジー海岸の崖を命懸けで登る米軍兵士の姿を思い浮かべる。
しかも、ホールデンはひとりでキャッチするという。
「22」に突如現れるSalingerの心情は、題名にまで使ったことからも、ライ麦畑のキャッチャーへの並々な決意を感じる。

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