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最近の騒動について(1/2)

 最近、カクヨム界隈で、作品の盗作に関わる騒動が起きているようです。
 A氏が「自分の作品がB氏によって盗作された」とクレームしたのをきっかけに、A氏およびA氏の応援団と、B氏の応援団の間で、個人攻撃合戦が続いています。

 自分はA氏とは直接関わりがありませんが、A氏の応援団と目されて個人攻撃の対象になっている方々の一部とは、昔から仲良くしてもらっていて、作品の感想をやり取りしています。またB氏とは、作品にいいねをもらったりして相互フォローの関係にあります。そんな人たちの間で論争になっているのは、どうしたことだろうと思っていました。

 昔から「ネットで何か揉め事が起こっていたら、一次情報を確認しろ」と婆ちゃんの遺言でキツく言われて育ちましたので、これは原典に当たらなければならない。

 そこで、A氏が「盗作された」と主張されている作品Cと、盗作だと言われているB氏の作品Dを、実際に読み比べてみることにしました。
 またA氏がクレームを書かれている近況ノートでは、B氏の作品Dは、複数の商業作品からも盗作していると主張されています。そこで、それら商業作品についても、可能であれば原典作品にあたり、それが難しければWikipediaやpixiv百科事典でストーリーやキャラクター設定を確認してみました。

 以下のエッセイは、比較分析してみた結果のまとめです。

【注意】
※上記の騒動に関係ない方には、何も面白味がない内容なので、読んでいただく必要はありません。このまとめをもって何か主張を広めるという意図はありませんので、知らない人はここでブラバして下さい(1万2千字もあって長いです)。

※冒頭にも書きましたが、自分はA氏、B氏双方の陣営の個人攻撃合戦に参加するつもりはありません。ただし、客観的に分析した結果なので、この近況ノートのリンクを共有するなり、内容をコピーするのはご自由にどうぞ。

※分析結果について、納得できないという点があればコメントに書いていただいて構いません。作品の内容について事実誤認があれば訂正します。解釈については、水掛け論にしかならないと思いますので議論はしません。

※「あいつは敵なのでブロックした方がいい」とか「お前は向こうの肩を持つつもりなのか?」とか言われても、すべてスルーさせていただきます。繰り返しになりますが、原典に当たって自分で判断した結果をまとめただけで、どちらの陣営にも加担するつもりはありません。

※B氏は、現在該当作品を非公開にしています。もし盗作ではないと主張するのであれば、堂々と公開すべきだと考えます。今回の分析では、B氏に依頼して作品のダウンロードデータを取得して読み込みましたが、非公開のままでは、この分析が正しいかどうかの第三者による検証ができません。

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1.分析対象
・A氏作品C (カクヨムにて掲載。6月21日時点で閲覧)
・B氏作品D (カクヨムで非公開となっているため、B氏に趣旨を説明してバックアップデータを取得)

・A氏近況ノート(2024年6月7日)
 この中で、作品Dについてどの点が盗作と判断されるのか、複数の商業作品のタイトルも含めて言及されています。それら作品は以下の通り。
 ゴットイーター
 テイルズ オブ リバース
 ニーアオートマタ
 ゾイド
 クロスハンター

・B氏作品E(カクヨムで非公開となっているため、B氏に趣旨を説明してバックアップデータを取得)
 上記近況ノートにて、アメリカの小説原作で映画になった作品「トワイライト」からの盗作と記載されているため、こちらも分析しました。また、FF7のキャラと同名かつ共通点が多いキャラも登場するとされているので、その点も確認しました。


2.分析方法
 盗作の指摘については、昔から「箇条書きマジック」と呼ばれるテクニックがあります。二つの作品の間で、似ている箇所だけをリストアップして並べると、いかにも盗作しているかのように印象付けられるというものです。
 今回の分析についても、箇条書きマジックと指摘されないように、作品全体を分析して比較してみることにします。

1)作品Cと作品Dの比較
 作品Cおよび作品Dを読み込んで、世界観設定、キャラクター設定、ストーリーの3つの軸で整理してみました。

・世界観設定については、年代、国、政治制度、社会情勢、敵対勢力、軍制などの設定と、主人公やバディ、敵が使う主要な武器や、移動手段、特異な機械などのギミックを比較しています。

・キャラクターについては、どちらもバディ・アクション物のジャンルなので、作品に登場するすべての人物を、主人公、バディ、仲間、敵役に分類し属性や性格を整理し、比較しています。

・ストーリーについては、全体を起承転結の四幕に分けて、どういったイベントが発生し、主人公と敵役がどういった行動をするかを比較しています。また、主人公とバディ、主人公と敵がどういった関係になっていくかを見ています。

 これらのうち、特にキャラクターの敵役については、A氏近況ノートで盗作されたと強調されているので、詳細に確認しています。

 なお比較結果のまとめは以後の章に記載しますが、分析結果詳細は、Excelで86行ほどの大きさになってしまったので、画像で添付できませんでした。以下のリンクにPDFファイルを置いておきますので、もし興味がありましたら、ご覧下さい。

https://drive.google.com/file/d/1DLE-Z0xwvmSwZQvXWGViAsXDkyb-B-Wy/view?usp=share_link


2)商業作品との類似比較
 A氏近況ノートで、商業作品からの盗作として以下の点が挙げられています。これらについて、元作品の内容を確認して類似点を比較してみました。

・世界観の元ネタは「ニーアオートマタ」

・「テイルズオブリバース」の、ヴェイグとティトレイの殴り合いシーンをほぼ完全コピーしている

・「ゴッドイーター」の登場人物ソーマが、行動を共にしたゴッドイーターは戦死することが多く「死神」呼ばわりされていることと、本人もそれを気にして他者を突き放したり、冷淡な言動や行動をとる設定を盗作している

・その他「ゾイド」と「クロスハンター」


3)前作と映画「トワイライト」の類似比較
 アメリカ映画で、高校生の少女と同級生の吸血鬼の男子とのラブロマンスを描いた「トワイライト」という作品があります。B氏の前作「炎のトワイライトアイ」は、このタイトルとあらすじを盗作したものだと指摘されています。
 両作品についても、登場人物の設定、ストーリー、タイトルを比較してみました。

4)前作とFF7のキャラ名
 FF7と同じキャラ名を使用しているとされる点について、確認しました。



3.分析結果
1)作品Cと作品Dの比較

・世界観設定について
 作品Cの舞台は、199X年のアメリカです。ただし、貴族制度があり、世界各地で戦争が行われて、アメリカ国内は敵国の残党兵や無法者で溢れかえっているという架空歴史設定になっています。モヒカン頭・スキンヘッドの武装した無法者達がバイクに乗って略奪を繰り返していたり、軍人でも、死体から戦利品や金目のものを回収するのは当たり前で、十分な車両や兵站が軍から供給されていないなど、荒廃し切っています。漫画「北斗の拳」や映画「マッドマックス2」の世界とほぼ同じ状況です。

 一方の作品Dは、地球の滅亡から数千年後、人類が移住してきた地球に似た気候、地質の惑星ルラキス星とマブロス星が舞台です。ルラキス星とマブロス星は過去に戦争をしたことがありますが、今は休戦状態で平和な社会生活が営まれています。人間と高性能IDを搭載された機械知性体・アンストロンが共存しており、人間と見分けがつかない高度な知能と外見を持つアンストロンには、一定の権利も認められています。

 主人公が戦う敵の設定は、作品Cでは、周囲に溢れかえっている無法者や敵軍人などです。作品全体で25種類登場しますが、10数人の改造人間の兵士といったように、1種類で多人数いるので、25人というわけではありません。
 この敵のバリエーションが豊富な点が作品Cの特徴となっていて、ビリー隊長やクレア副隊長といった名前のついている敵兵から、サイボーグ兵、改造された生物兵器、ロボット兵器、兵器を開発する敵の研究所の博士、巨大ゴリラ、人狼、中東風のテロリストなどなど、アクションゲームの敵として登場しそうなタイプが、かなり網羅されていると言ってもいいでしょう。主人公とバディは軍人で、指令によって周辺にいるこれらの敵を次々に倒していきます。

 一方の作品Dでは、たった一人の敵と、その人物が開発したウイルスによる突然変異の怪獣しか出て来ません。その人物は、元々主人公のいるルラキス星で研究者をしていたライアン博士で、研究成果をボスに盗まれた恨みからマブロス星に移住し、人間型の機械知性体を巨大化、凶暴化させるウイルスを開発して、それをルラキス星で単発的に使って騒ぎを起こします。平和な都市やリゾート地に、突然凶暴な怪獣が出現して人々が殺されるパニックものとなっています。この凶暴化した機械知性体を鎮圧するための組織が設置されていて、主人公とバディはそこに勤務するエージェントという設定です。

 以上のように、世界観の設定では、両作品の間には共通点はないと判断できます。


・キャラクター設定について 主人公
 作品Cの主人公は、元々貴族の子息でしたが、両親を失った後に傭兵になり、バディに拾われて正規の軍人になります。バディは、生物兵器研究所で作られた改造人間で、超人的な体力と回復力を持っています。性格は、どちらも敵に対しては冷徹で、残忍に殺すことを喜んでいる傾向もあります。お互い同士は、最初から相手の強さを認め、裏表なくバディとして熱い友情で結ばれており、最終章では同じ部屋で暮らし始めます。

 一方の作品Dの主人公は、幼い頃から両親がおらず施設育ちでしたが、組織のエージェントとして働くうちに、コンピュータの判定でバディの相棒に選ばれます。バディは、恋人で相棒だった女性が三年前に目の前で殉職し、その後も相棒が次々に殉職したことで心を閉ざし、孤高を保っています。主人公が、どうやってこの頑ななバディの心を開いて信頼感を育てていくかが、二人の関係のキーとなっています。また、敵役の研究所の博士が、実は主人公の実の父親だったというどんでん返しが最終章で明かされ、父と子のすれ違いと死がクライマックスとなります。

 主人公とバディについては、A氏もあまり触れていないほど異なった設定なので(詳細はPDFを参照)、次に敵役のキャラクターの類似について分析してみます。


・キャラクター設定について 敵役
 作品Cの敵役は、先に触れたように、25種類のバリエーションが登場します。どれも既存の漫画や映画に出てくるわかりやすいテンプレに沿った悪者なので、主人公とバディがバタバタと倒していく爽快感を、単純に楽しむことができます。いずれも、深い背景や動機などは描写されず、アクションゲームで登場する敵キャラのように、単に主人公達に敵対する者として登場し、倒されていきます。

 作品Cの中で、作品Dに登場する唯一の悪役であるライアン博士に類似する者は、2名います。敵軍の研究所で改造人間や生物兵器の研究をしていたオズワルド博士と、味方の軍の研究所の医師であったオスカー博士。
 まずオズワルド博士ですが、アメリカ国内に建設された敵軍の研究所で、改造生物の双頭の犬や巨大なゴリラを作り出していました。主人公二人によって研究所が破壊されると、傭兵部隊を構えるジャングルに逃げ込み、巨大な戦闘用ロボットに乗って戦いますが、最終的に主人公らに殺されます。彼は、敵軍の研究者として兵器を開発していただけで、特に複雑な動機などは描写されません。戦い方も、通常兵器を主人公達に差し向けて戦わせるスタイルです。
 またオスカー博士は、味方であるにもかかわらず金に目が無い闇医者で、テロリストを騙してアメリカ国内でテロを起こさせたり、主人公のバディを半ば騙して、人狼の血液を注射する人体実験を行ったりする、いわゆるマッドサイエンティストとして描かれます。動機は、自分の研究の興味のためです。

 これに対して作品Dのライアン博士は、機械知性体・アンストロンを変異・暴走させるウイルスを開発し、それを密かにルラキス星のあちこちで感染させて、平和な街で突然、機械知性体を怪物に変異させるという、いわばテロのような手法で攻撃して来ます。動機は、かつて自分の研究成果を横取りしたルラキス星の研究所のボスへの復讐のため。
 最終章では、このウイルスを自分の体に注射して自ら変異し、実の息子である主人公と戦って倒されます。マッドサイエンティストながら、故郷の星への怨恨という動機があり、幼い頃に捨てた息子との因縁の再会があり、ウイルスで凶暴化していながら、息子の呼びかけに人間の心を一瞬取り戻すシーンがありと、ドラマティックな展開を見せるキャラクターです。

 この敵役キャラクターを比較してみると、「研究所で兵器を研究している博士」という点では共通ですが、開発している兵器の内容も異なりますし、設定にもほとんど共通点がありません。作品Cの二人には、いずれも内面の心理描写がほとんどなく、過去の履歴や因縁についても触れられていないので、そもそもキャラクター設定は無いのかもしれません。アクションゲームで登場する敵キャラのように、倒されるためだけに登場する存在ですから、これは当然のことかもしれません。


・ストーリーについて
 「世界観設定について」で書いたように、作品Cでは、軍人である主人公とバディが、指令に従って軍事基地の周りの街やジャングルに出動し、無法者や敵兵を情け容赦なく虐殺するという展開が続きます。その中で、主人公が瀕死の重傷を負うと、回復のために敵から入手した人狼の血液を輸血して強力になったり、バディが同じように輸血されて理性を失ってしまったりといった展開が入り、最終的に、戦いは終わっても人狼の血液のせいで残忍性が抜けきらないバディを見守るために、主人公と二人で平和に暮らし始めるところで終わります。

 作品Dでは、前半は、組織に所属するエージェント達が、平和な街やリゾート地に突然出現する凶暴化した機械知性体を鎮圧するために出動して戦うシーンが続きます。中盤で、主人公がバディの本音を引き出すために、拳で語り合うシーンの後、バディの妹がライアン博士に誘拐されるという事件が発生します。終盤は、誘拐された人々を奪還するために、マブロス星にある博士の研究所に侵入し、無事帰還させるところで終了となります。この最後の戦いで、先にキャラクター設定についてで触れたように、実はライアン博士が主人公の実の父親だということがわかり、敵とは言いながら父親を目の前で失った主人公の悔恨のセリフが出ます。

 研究所に侵入して、博士と対決するという展開は作品Cにもありますが、作品Cのオズワルド博士に対しては、軍の指令で攻撃に行き他の敵兵と同様に殺害しただけ。オスカー博士に至っては、人体実験で暴走したバディが勝手に重傷を負わせて、主人公がとどめを刺したものです。
 それに対して作品Dでは、誘拐された妹を奪還するという目的設定があり、父と子の対面という因縁の対決が演出される舞台になっています。
 ストーリー全体に言えることですが、作品Dでは主人公達が人を殺すシーンが出てきません。前半の機械知性体との戦いでも、コアを破壊する攻撃を行うのみで、他の人間と敵対して戦うシーンは一切ありません。最後にライアン博士が死ぬシーンも、地面に開いた大きな穴に落ちそうになっている瀕死の博士の手を握りながら、主人公は罪を償ってやり直せと言って助けようとします。結局、手を振り払われて、博士は地下に落下して亡くなってしまいましたが。

 以上のように、作品Cと作品Dのストーリーでは、「兵器を開発する研究所の博士と戦う」という以上の共通点は、見出すことができませんでした。これだけであれば、1970年代の日本の特撮テレビドラマから、アメリカのマーベリック作品まで、数限りなく作られてきたありふれた設定と言えます。
 もしこれをもって盗作と呼ぶとしたら、作品Cも数限りない作品からの盗作ということになってしまいますが、そのような不毛な主張は意味が無いと考えます。


・作品Cと作品Dの比較まとめ
 以上、世界観設定、キャラクター設定、ストーリーについて比較して来ましたが、いずれも盗作と言える共通点は見出せませんでした。




2)商業作品との類似比較
 続いて、A氏の近況ノートの主張にしたがって、商業作品からの盗作という点について確認していきます。

・世界観の元ネタは「ニーアオートマタ」
 「ニーアオートマタ」は、2017年にスクエア・エニックスから発売されたアクションRPGです。自分はゲームはプレイしないので、「小説NieR:Automata(ニーアオートマタ) 長イ話」の読み込みと、Wikipediaのストーリー紹介を典拠に比較していきます。

 ニーアオートマタの世界観は、地球がはるか以前にエイリアンに侵略され、地上がエイリアンが持ち込んで来た機械生命体に占拠されている状況で、地上を奪還するために、アンドロイド兵士が衛星基地から降下して作戦行動を取っているという設定になっています。
 裏設定で、人類は月面基地にいることになっているが、実はすでに滅亡していて、ごく一部のアンドロイドを除き秘密にされていた(ゲシュタルト計画とヨルハ計画)ということが最後に明かされ、またエイリアンも、数百年前に機械生命体によって絶滅させられていることが明らかになります。そのため、主人公はアンドロイドの2体であり、関わりを持つ組織も全てアンドロイドで構成されています。戦う相手も、進化した機械生命体ばかりです。

 それに対し作品Dは、地球から数百年前に人類が移住して来た惑星が舞台であり、平和な惑星上で、人類と平和に共存していた機械生命体の一部が暴走し、凶悪化するのを食い止めるのが目的となります。主人公も、関わりを持つ組織も全て人間が中心になっています。
 敵となる存在も、マブロス星に移住した研究者の個人的な怨念によるテロと言えるもので、スペースオペラ的な全面戦争状態になっているニーアオートマタとは、全く異なるものです。

 両作品とも、ウイルスが重要な役割を果たしますが、ニーアオートマタのウイルスはシステム中に潜伏し、データのバックアップのために接続してきたアンドロイドに感染して論理的に暴走させるという、コンピュータウイルスに近い想定となっています。一方、作品Dのウイルスは、人工生命体の体を変異させて巨大化したり、人間にも感染するということから、本来の生物的なウイルスに近い想定になっています。

 以上の比較から、両作品間の世界観には全く類似点は見られませんでした。


・「テイルズオブリバース」の、ヴェイグとティトレイの殴り合いシーンをほぼ完全コピーしている
 作品Dの中では、恋人が殉職した記憶に囚われて心を開かないバディに対して、主人公が、殴り合いを仕掛けて本音を引き出そうとするシーンがあります。
 一方、A氏が近況ノートでリンクしているゲーム「テイルズオブリバース」のプレイ動画を見ると、友人同士と見られる二人が、頑なな相手の本音を引き出そうと殴り合っているシーンが見られます。これを見ると確かによく似ているので、A氏が盗作ではと主張するのは理解できます。

 ただし、これによく似たシーンは、別の作品でも見たことがあります。タイトルは忘れましたが1980年代の不良少年ものの漫画でも見かけましたし、もっと近い例だと、2004年12月に発売された「テイルズオブリバース」より少し前、2004年4月に発売された恋愛アドベンチャーゲーム「CLANNAD(クラナド)」にもありました。主人公の岡崎が、サッカー部を辞めた経緯について心を閉ざしている親友の春原と、雨のグラウンドで泣きながら殴り合うシーン。
 「拳で語り合う」という言い方がありますが、本音を出せない不器用なダチに、殴り合いで心を開かせようとするのは、漢のロマンとしてみんな描きたがるものなのかもしれません。

 このシーンについては、もう一つ。「苦しいなら苦しいって言えよ」というセリフが、そっくり同じだという指摘があります。これについては他に類例がなさそうなので、B氏が意図して使ったものか偶然の一致かはわかりませんが、A氏が盗作ではと主張するのは仕方ないかもしれません。


・「ゴッドイーター」の登場人物ソーマが、行動を共にしたゴッドイーターは戦死することが多く「死神」呼ばわりされていることと、本人もそれを気にして他者を突き放したり、冷淡な言動や行動をとる設定を盗作している

 「ゴッドイーター」は、2010年にバンダイナムコゲームスから発売されたアクションゲームですね。こちらも、自分はゲームをプレイしないので、ゲーム後の世界をコミカライズした漫画「GOD EATER -the spiral fate-」の読み込みと、PIXIV百科事典のソーマ・シックザールの項目を典拠に確認していきます。

 本名、ソーマ・シックザール。フェンリル極東支部長ヨハネス・フォン・シックザールの実子であり、マーナガルム計画においてP73偏食因子を細胞に埋め込まれて誕生した人間。あだ名は『死神』。主人公に対して不愛想でつれない態度をとるが、シナリオが進むにつれてシオに対して言動こそぶっきらぼうなものの優しい態度をとったり、それを主人公や仲間たちにからかわれて悪態をつきながら赤面するなどの一面を見せるようになる。
 彼の人を遠ざけるような言動・冷淡な態度は、「彼が所属した小隊や同行した神機使いは死ぬ」というジンクスが存在するのためである。ゲーム内で明確に描かれたのは母親のほかにエリック、雨宮リンドウ(正確には謀略だが)の二名。

 ということで、同行者が死ぬので死神と呼ばれるという設定は同じです。そのため、A氏が盗作だと主張するのも理解はできます。

 ただし、同じような設定のキャラクターは他にもいて、例えばゲーム「バイオハザード」のハンクもそうですし、映画「世界侵略: ロサンゼルス決戦」のマイケル・ナンツ二等軍曹などもそうです。
 バトルもので、クールなキャラクターを配置する時に、ありがちな設定といえるかもしれません。ありがちな設定があるだけで、盗作とするのは無理があると考えます。

・その他「ゾイド」と「クロスハンター」
 その他に「ゾイド」と「クロスハンター」も名前が挙げられています。ただし、具体的な類似点は記載がないので、概要を比較するにとどめます。
 「ゾイド」は、タカラトミーの玩具「ゾイド」をモチーフにして、アニメ化もされた作品です。惑星Ziに生息する巨大な動物型の金属生命体ゾイドを捕まえ改造して兵器として使い、帝国と共和国の緊張関係を背景に、少年のバトルと成長を描くストーリーです。
 ゾイドは、元々惑星Ziに野生で住んでいる動物型の金属生命体ですし、少年の成長物語というストーリーも作品Dとは関連がありません。どこに類似点があると判断されたのかわかりませんが、あまり関係はないようです。

 「クロスハンター」については、元々の作品が盗作騒動で有名になった経緯があるので、内容というよりは盗作作品だと揶揄しているものと思われます。

 以上、商業作品との類似比較については、「テイルズオブリバース」の「苦しいなら苦しいって言えよ」とのセリフについては、他に類例もなく、似ていると判断できます。それ以外については、盗作と言えるものではないと考えます。

 最近の騒動について(2/2)に続く

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