時代の制約を乗り越えようと、新しいテクノロジーを開発してきた人達の物語っていいですよね。
この技術は、世界を変える。そして世の中の人々に、これまでにない新しい幸福を与えることができるはずだという確信を持って、何度も実験に失敗し、旧来の権威からの妨害と闘いながら、道なき道を切り開いていく姿に涙してしまいます。
アメリカで開発・実験が始まったインターネットという仕組みそのものを、初めて日本に持ち込んできて、ネットワークの技術革新と普及に尽力した、村井教授らを描いた「電網創世記」のようなノンフィクションでも、美少女ゲームというジャンルを発展させるために、その時代のPCのスペックの限界ギリギリでグラフィックの描き方やシナリオの技術を革新していく姿を描いた「16bitせんせーしょん」のようなフィクションでも、みんな熱くなるし涙がこぼれてくる。
そういう要素を持ったファンタジー小説って書けないかな、とふと思ってしまったんです。それも、女性が主人公の作品で。
魔法世界のファンタジーだと、「転生王女と天才令嬢の魔法革命」という先行作品がありますね。魔法使いの能力を持つ貴族以外の人々でも、道具の魔力で魔法を使えるようにしようと実験を繰り返している王女アニスフィアと、そのパートナーになるお嬢様ユフィリアの尊い百合作品。
アニスフィアは自力では魔法を使えないけれど、現実世界からの転生者で前世の記憶があるので、魔法科学という技術を開発して、誰でも魔法が使えるような道具を発明してしまう。
なろうから富士見ファンタジア文庫になって、アニメも放送されてます。
魔法を技術で実現、というコンセプトだとガッツリかぶってしまうので、違う方向にする必要がありますね。
魔法そのものを魔法として革新していく話だと、どうも具体的なイメージが描きにくいし、下手すると「葬送のフリーレン」のゾルトラークみたいに、「昔はすごい殺人魔法だったのに、研究していくうちに防御魔法が開発されて、一般攻撃魔法程度になってしまいました」と、面白くもなんともない話になっちゃう。
道具立てでやりやすそうなのは、スチームパンクの世界観での技術革新かな?
蒸気機関による直接駆動が常識の世界で、「エレクトリック」というインチキみたいな効果を発見してしまったグループがいるけど、スチームパワーカンパニーの秩序と権威と利権を守りたい連中に迫害されている。
その効果が現実にありうる事を、たまたま目にしてしまった好奇心旺盛なお嬢様が、レジスタンスグループのリーダーの若き研究者女子と共に、カンパニーの妨害と闘いながら研究を進めて行って、大規模実験を成功させるまで的な。
そういう組み合わせだと、魔法世界で伝送技術と組み合わせてしまうストーリーでもできるかな。
古い文献に書かれていたエーテル伝送という失われた秘技を元に、遠隔地に魔法を届けることができる技術を開発してしまう古文書学者の女子。それを使えば王都から遠く離れた僻地の農村でも、豊作にする祈祷や、魔物を追い払う魔除け祈祷をいつでも届けられるので、王国の国力を上げて国民を幸せにできると構想する王女様。
でも、魔法使い連盟の幹部は、もったいぶった儀式を各地方で開催することで自分たちに権威を付け、利権をむさぼっているので、その価値が下がる事を恐れて妨害に走る。命を狙われた古文書学者の女子を助け、奔走する王女様。
なんか、書けそうな気がするなこれ。