■この素晴らしき世界
創作性はどこに宿るか、という話がしたかった。ただの事実の羅列を、その編集技術によって並び替えた場合に、その作者は誰になるのか、みたいな。この辺りは「引用の暴力」とかのボルヘス的なアレにも通じる部分だったり。
■巨大ロボットと阿修羅
巨大ロボ論を書こうとしたわけではなくて、どちらかというとサブカルを飯のタネとして目を付けた評論畑のライターがテキトーなことを言う感じへの批判的評価みたいなものが書きたかった。
■蝦夷の用心棒
北海道ウェスタンが好きだ。が、どうにも捻りの効いた内容が思いつかず、であれば「捻りが無いと批判する書評」にしてしまえばいいじゃないか、という発想の転換。ただ、まあ、面白そうじゃない作品を面白く評する方法論が、確立されていないかな、という自分への不満はある。書いていくことで身につけたい。その第一歩というところか。
■猟犬たちの鎮魂歌 魔弾同盟
TRPG(ビーストバインド)のキャンペーンとして構想していたシナリオ。東京で『魔弾の射手』の悪魔ザミエルがテロを起こすのをPC全員警視庁死霊課で立ち向かう、という筋書き。元々は80年代風刑事アクション、90年代風ミステリ、00年代風警察モノ、の三本立てのイメージだったのだが、まあ今時なら警察モノで警察描写の粒度を『あぶない刑事』レベルの雑さにはできないよねえ、みたいな不可逆性もあって、警察モノ性が強くなった。
■ベイカー街遊撃部隊 バスカヴィルの雷獣
ホームズものでX-MEN。TRPG『ダブルクロス』のステージ「モダンタイムズ」がそのまんまこういう内容だが、どちらかというと元々は大空白期を舞台にしたスチームパンクのネタがあって、その主役候補にベイカー街遊撃隊のパターンがあって、「子供たち」「被差別」といった要素から、差別される子供たちのメタファとしてのX-MENが出てきて、という形に接続をした部分が大きい。
■スチームレンジャーズ3 宣誓の密約
起点はこれまたTRPG『テラ:ザ・ガンスリンガー』に登場するロケットレンジャーと言われるパワードスーツ兵で。オークランドの吸血鬼、いいよね、という感情から始まって。で、それとは別にウェスタン復讐劇が書きたいとか、スチームロボ西部劇(『ガンドライバー』を泥臭い方向にした感じ)とかのアイデアが混じって、結果的に現代的な娯楽SFっぽい潮流のイメージになった。パワードスーツ論とか、「地下鉄道」の話とかは、また別に掘り下げたいネタだ。
■ガバメント
内容自体は、大学生の頃に書こうとしてた、拳銃を手にした少年が少女と鬱々とした感じであれやこれや内向的な会話をする話がベースに。あと『新興宗教オモイデ教』のイメージも実際ある。が、本題はむしろ時代を経て失われるものとかの話。普遍的な価値がある内容があり、風化する内容があり、それとは別に異なる味わいになる作品もある。経年による質的変化の話はメタテクストのひとつとして、もっと掘り下げたいテーマだ。
■永劫回帰のウロボロス
これまた大学時代に書いた、本の中の世界に入る話。でもフリーゲームの『イストワール』のイメージの方が多分強い。あと、劇中劇の構造が多重化していくと神話だよね、みたいな話。
■天動説という科学
豆知識を書評に拡大してみようシリーズ。天動説が地動説に対して優位だったのは、存外に「科学的な」理由だった、というのが面白いなあと思ったのが起点。科学的に間違っているとされた説の提唱者・研究者が、かならずしも非科学的だったわけではないのだよねえ。あと、フロギストンの話は、ラボアジエがフロギストン派の科学者の著書燃やしたりするクソ野郎なので、正直あんまりだ。
■黄昏色は円環の
内容は要するに『恋する死者の夜』なのだが、個人的に重要な観点は、作品の多重性の部分で、読み手の視点によって作品はいかなるジャンルにもなるよなあ、という辺りが書きたかった。あるいは、書評サイト系の形式で書くべきだったか。