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不完全な真実・シーズン7

■バトンタッチ
夏を舞台に高校生の恋愛と部活動をオフビートに描いたハードボイルド青春物語、という構図は完全にあだち充作品のそれである。というか、タイトルで分かるように、野球を陸上に言い換えただけの『タッチ』である。であるが、それが「弟が子供をかばって死んだ」を書くまで気付かないんじゃないかな、ということを考えたりした。そこで「あ、これタッチじゃん」ってなったら、ちょっとしたミステリとして成立してるかな、みたいな感じです。

■鮫姫戦記
サメ映画、いいよね?

■猫は夢見て、犬は走る
当初は「猫の地球、犬の宇宙」というタイトルで、対比も「地球に残留する猫と、宇宙開拓船に乗る犬」で書く予定だったが、あくまでも惑星間ぐらいかなあ、という匙加減でこうなった。レビューでは明言していないが、本作のギミックというのは、少年と少女って言ってるふたりが犬と猫だ、という話です。クドリャフカ(巻き毛ちゃん)と護民官ペトロニウス、です。

■愛の怪物
着想は『Q.E.D. 証明終了』の「いぬほおずき」の被害者の男のキャラクター。とにかく愛情が無尽蔵で、男女物事を問わずすべてを「愛する」から軟派な遊び人にも真摯な役者にも見えるという「恐ろしい」キャラで。で、それと『Fate/EXTRA CCC』でアンデルセンの言った「より強く愛している方が、本当に“支配している”側と言える」という台詞が結びついて、こういう話になった。この「愛の暴力性」自体をちゃんと書ければ今頃文豪も目指せようが、それができないので書評という体で直接的にそれを言ってしまうわけである。

■隠れて本を読む方法
検閲と焚書は読書好きにとって、恐ろしいからこそ魅力的な題材だ。で、その検閲を題材にしたバディものが出てきました。タイトルの詩情は気に入っている。もっとビターな結末がいいんじゃないかと思ったのだが、それが思いつかなかったので、その不満も含めてのオチ。でも、この落とし方自体は気に入っている(パーツ単位ではいいけど、このシナリオのパーツとしては噛み合いが、みたいな話)。

■誰が死者を起こしたか
シリーズもののレビューは何個かあるけど、本当にシリーズを複数取り上げたパターンは記憶の限りこれが唯一。同じ作家を複数回ってのはあるのだけれども。で、タイトルありきで「殺人事件の逆で、蘇生事件ってどうだ」となり、そもそも蘇生すると何が問題になるの、という風に話を考えまして。で、蘇生だと事件性とか謎とかが、っていう辺りから殺人事件は被害者が証言できないから花形なんだなあ、と。あと、死者の霊だって偽証するよね、というのは『逆転裁判』に教わった盲点だ。まあ、今だと「彼ほどの男がいかに事情があろうとも裁判に際して偽証をするか?」という方向に疑問があるのだが。

■バーンドブックス・ビリー
検閲と焚書は読書好きにとって、恐ろしいからこそ魅力的な題材だ(パート2)。で、その焚書の方を題材にした作品には『華氏四五一度』という傑作があるわけだけれども、そこで邪悪な生業扱いだった焚書官を正義のヒーローにしてみたら、という逆張り精神が起点で。でも、そこで滑稽な「ヒーロー」にするのはいかにもだよなあと「焚書が正義になりえる状況は」と思考を進めて、こういう話に。タイトルを略すとBBBになるのは気に入っている。

■久遠の闇
『夜間飛行』、とくに主人公のリヴィエールの厳格さが私は滅法大好きでして。個人的に『プラネテス』のロックスミスは、リヴィエールのキャラクター性が根っこにあるんじゃないかと思っているのだけれども。「盤古宇宙」はとくに設定は無いけど、多分中華風の世界観なんじゃないかなあ。

■オーバーライド4 荒野の決闘
『カオスフレア』よりは『TORG』に近く、むしろ『ビーストバインド』に近い、並行世界間戦争の話。起点は『航時軍団』だったんで、主人公も歴史を変える特異点だったのだが、なんかこんな感じに。あと『FGO』の第二部今遊んでる影響もちょっとある。まあ、異聞帯同士の衝突、まだ一度も起こってないんだけど。

■悪口屋
発想としては上のBBBに近い、風刺的な逆説的ヒーロー像を、もう一ひねりして正統派ヒーローとして描くには、という順序。つまり、SNSでの誹謗中傷とかの風刺っぽい悪口屋というヘンテコなキャラクターができて、悪口を言うことが正しい状況ってなんだ、という再度の捻りが。「悪」が古来は善悪の意味ではなかった、というのは『山賊王』で教わった。

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